海外インターンシップ研修(中国)

平成28年9月4日(日)~11日(日)

日程 : 2016年9月4日(日)~11日(日)(7泊8日)
場所 : 中国(上海・蘇州・広州・東莞・香港)

 9月4日(日)から11日(日)まで、本学の学生8名が、地域経済研究所が企画した海外インターンシップ研修に参加し、中国の華東(上海、蘇州)と華南(広州、東莞、香港)を訪問しました。現地に進出している繊維、眼鏡、自動車、電子部品、食品等の日系企業9社、台湾企業1社、ジェトロ等4団体、計14の企業・団体を訪問。

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■引率された丸屋教授の声
 今回の海外視察は、中国の華東・華南に進出している日系企業等を訪問し、現地での事業活動やそこで働く日本人の仕事ぶりを見聞し、海外で働くことの意義と企業が求める人材像を学生に理解してもらうのが目的であった。現地では企業10社4団体から直面する課題と今後の事業展開についてお話を伺うことができ、変貌するアジアの最前線の動きを身を持って感じることができた。また連日昼・夕食時に企業のトップや幹部に参加していただき現地での日常生活についても話を聞くことができた。アジアにおける日本企業の活躍と異国の地で苦労を重ねながらも成果を上げている現地駐在員の生き生きした姿を拝見し、自分の価値観が変わったという学生がいたことは何よりの成果であった。

■参加者の声(経済学部4年1名、3年5名、1年2名の計8名)

【日本企業の中国進出の実情を聞くことができたことは大きな収穫】
 中国市場向けの生産・販売を目的に進出している企業が近年多く、輸出向けの生産拠点はベトナム、インドネシアなどASEAN諸国へシフトする動きを知ることができたことは大きな収穫でした。様々な企業の現地駐在員の方々から、中国人と一緒に働く上での秘訣を教えていただき大変勉強になりました。

【中国での市場開拓の秘訣】
 中国でのカレーライス文化啓蒙活動を長きにわたって実践して中国にカレーを定着させた、ハウス食品の成功話を聞くことができました。中国の市場開拓は独特の制度があり難しさを感じた反面、その市場に合わせた商品作りの工夫と、商品を市場に浸透させた様々な手法を学ぶことができました。

【中国パワーに触発された】
 研修に参加するまでは、中国に対して良い印象を持っていませんでした。実際に訪れて、中国の街が発信するパワーや、中国人の勤勉さを肌で感じることによって、中国の良い点をたくさん知ることができました。日本のマスコミ報道を鵜呑みにすることなく、自分の眼で見て、行動し、中国の若い人たちに負けないように、もっとたくさんのことに挑戦して勉強していこうと思います。

【海外での企業訪問は貴重な体験】
 多くの日本企業や現地企業などに訪問できるこのような視察研修は、個人で行く海外旅行では体験することができない、貴重な経験であったと思います。海外で活躍するたくさんの日本人に負けないよう、語学力や専門知識を習得し、就職してからも役立てていきたいと思います。


■日程

9/4(日)  小松空港発、羽田経由、上海着
上海環球金融中心有限公司(森ビル)【浦東】(ディベロッパー)
上海商業施設視察【旧市街地】
9/5(月) 上海ハウス(好侍)食品有限公司【上海市嘉定区】(ハウス食品)
上海礼愛企業管理諮詢有限公司【上海市嘉定区】 (リエイ:介護施設)
9/6(火) 世聯汽車内飾有限公司 【蘇州】(セーレン)
育成環保自動化設備有限公司 【太倉】(台湾メッキ機器の製造販売)
上海華鐘諮詢服務有限公司 【淮海中路】(コンサルタント)
9/7(水) JETRO上海、福井県上海事務所
 上海発、広州空港着
JETRO広州
9/8(木) 東莞恆宏眼鏡有限公司 【東莞】(シャルマン)
東莞石龍京セラ有限公司 【東莞】(京セラ)
9/9(金) 広州豊田汽車有限公司【広州】 (トヨタ)
広州アシックス【広州】  (アシックス)
9/10(土) JETRO香港
香港商業施設視察
9/11(日)  香港発、成田経由、小松空港着


■研修行程
◇9月4日(日)
日本⇒上海
小松空港から7:45のフライトで羽田経由で上海に12時到着。

1.森ビル:上海環球金融中心有限公司【上海】  15:00~16:30
 上海市の浦東開発や森ビルの上海での事業活動について話を伺ったほか、地上101階(492m)の展望台からは高層ビルが乱立する上海市内の全貌をはっきりと眺めることができた。森ビル視察を通じて都市開発と不動産業の実態と役割についても理解を深めることができた。
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     上海の街並みのジオラマ              天望台から上海市内

◇9月5日(月)
2.ハウス食品: 上海好侍食品有限公司【上海】  9:30~12:50
 羽子田(はねだ)社長から中国でのマーケティング活動の秘訣を伺った。中国ではご飯にかけて食べるカレーは、かつては皆無に等しかった。そこで、「カレーライス文化啓蒙活動」に着手。スーパーの食品コーナーで作り方を実演しながら試食販売を行うほか、全国津々浦々の料理学校や日系企業の社内食堂でカレーを出すように宣伝活動も展開。中国人のテイストに合った「色」と「隠し味」で、徐々に日本式カレーライスを浸透させ、「バーモントカレー」などのカレールウの販売は年率20%のペースで伸びている。外食から内食にシフトしている巨大市場の中国でのチャンスはまだまだ大きい。
 海外駐在に向いている人物像について、進出のステージ別にどのようなタイプの人間が向いているか、グローバルリーダーの心構え、日本人が中国で理解できないこと、中国ビジネスの難しさ等、海外で働く上でのアドバイスをいただいた。
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      羽子田社長からのプレゼン          中国テイストのカレーとは

3.リエイ: 上海礼愛企業管理諮詢有限公司【上海】  13:10~15:00
 中国では医療技術の進歩で平均年齢が上がり、60歳以上は2億6千万人以上。さらに、都市化に伴う核家族化の進行や、「一人っ子政策」による出生率の低下など、少子高齢化が進んでおり、介護需要が高まっている。上海など大都市で成功している中国資本の介護施設は、デベロッパー(不動産業)として会員権の販売に主眼を置き、介護サービスとしての事業化の発想はない。
 こうした状況を背景にして、中国では介護サービスを提供するソフト面での課題や法的な整備など根本的な課題も山積しており、介護先進国としての日本の介護ノウハウが注目されている。ソフト面でも日本より派遣したスタッフによる介護研修を行うなど、リエイの日本国内で培った介護総合事業キャリアを生かし、現地中間層以上の高齢者を対象とした介護施設の展開が期待できる。
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               玉置総経理からのプレゼンと施設見学

◇9月6日(火)
4.セーレン:世聯汽車内飾(蘇州)有限公司【蘇州】  10:00~12:00
 蘇州世聯はセーレングループにとって海外戦略の重要な拠点。カーシート用生地、エアーバック等の一貫生産。調達から製造・販売に至るまでの一連の過程、経営・人事面における手法、中国での生産において苦労していること等、繊維業界を代表するグローバル企業の成功の秘訣を学ぶことができた。工場見学では、整経・編立から、染色・後加工、検査まで、カーシート用生地の一貫生産を視察することができ、大変勉強になった。
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                セーレン中国事業のプレゼンと工場見学

5.育成環保自動化設備有限公司 (台湾企業)【太倉】  13:30~17:00
 台湾に本社を置く表面処理設備の製造・販売会社。マーケットは自動車、航空、電子設備業界で、自動化表面処理設備、汚染防止設備、カスタムメイド機を取り扱っている。台湾から中国に進出した経緯、中国での生産の苦労話等、日系企業以外の中国進出の話を聞くことができた。
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                遊董事長からのプレゼンと工場見学

6.上海華鐘諮詢服務有限公司【上海】  19:00~20:00
 古林董事長から中国人の日本への理解が深まる一方、日本人の対中国観が依然として歪んでおり、これが正常な日中関係進展の妨げになっているというお話は強く印象に残った。今回訪問した企業のトップのほとんども日本のマスコミの中国報道を鵜呑みにすることなく、自分の目で中国の真の姿を確認してほしいという助言をいただいた。また、スマートフォンの使用率、IT関連企業の近年の成長の様子を例に挙げながら、中国はIOT大国になり、それを利用したビッグデータ分析やAIへの活用の先進性が紹介された。
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                  古林董事長からのプレゼン

◇9月7日(水)
7、8.JETRO上海、福井県上海事務所  9:00~10:30
 斉藤副所長から、中国経済は産業・地域によって違いまだら模様であると伺った。2015年にサービス業が製造業のGDPを逆転。サービス産業が伸びると中国はまだまだ伸びる。中間層の人々の考えや生活がここ数年で先進国よりに変わってきている。電子マネー決済の急速な発達に伴い、ビッグデータを持っているアリババの優位性が紹介された。
 福井県立大学OGで中国で起業されている林麗氏から、中国での職場体験談と起業をしてからの売込も含めた独自のマーケティング手法が紹介され、参加者から熱い視線が注がれていた。
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       斉藤副所長からのプレゼン      福井県立大学OG林麗氏からのプレゼン

上海虹橋⇒広州
上海虹橋空港から12:30のフライトで広州に15:00到着。

9.JETRO広州  16:50~17:50
 河野経済分析部長から広東省の経済動向を伺った。広東省の経済規模は世界14位で、GDP100兆円と日本の1/4。加工貿易を主とする輸出型経済から転換し、高付加価値・ハイテク産業を主とした内需型の経済発展を目指している。電気・電子産業が盛んであったが、現在は自動車産業の集積が進んでいる。サービス産業も伸びており、GDPの5割を占めている。広東省は日本車が1番売れている地域で、日本に対しても好意的な地域である。
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               河野経済分析部長からのプレゼン

◇9月8日(木)
10.シャルマン:東莞恆宏眼鏡有限公司 【東莞】  9:00~12:00
 1992年に中国東莞にアリスター工場を設立。マザー工場は鯖江本社に持ち、日本で培った生産技術を中国でも取り入れ、日本の品質で製造を開始。アリスター工場の生産能力及び日本本社との住み分け、海外での販売戦略の歴史、イタリア眼鏡会社とシャルマンとの販売戦略の違い等について詳しく説明していただいた。工場見学では、金型製作から、プレス機での金属部品加工、組立、チタンレーザー溶接、研磨、メッキ・塗装、仕上げ、検査まで、眼鏡フレーム製造の生産ラインを視察することができ、大変勉強になった。
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     シャルマン会議室でのプレゼン             工場見学

11.京セラ:東莞石龍京セラ有限公司 【東莞】  14:30~16:00
 現地社員の稲盛流フィロソフィ研修体制から今後の事業展開戦略まで幅広く説明していただいた。中でも輸出用生産は今後さらにベトナムにシフトして現在の中国工場は生産維持のため国内販売を増やす方向にあり、中国市場開拓の最大のライバルは中国企業であるという話が印象的であった。中国は華南に限らず、輸出用生産についてはチャイナ・プラスワンの動きが今後も緩やかに進行する一方、中国工場は巨大な国内市場向け生産へとシフトする方向にある。また中国人従業員の強みと弱みのお話は興味深いものがあった。
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         ショールーム                会議室にて

◇9月9日(金)
12.トヨタ:広州豊田汽車有限公司【広州】  10:00~11:30
 187万キロ平米の広大な敷地にある巨大な工場を訪問した。さすが世界のトヨタとあって案内の中国人女性も洗練されており、教育が非常に行き届いているという印象であった。今後、構造改革を行い自動化レベルを日本の80~90%程度まで上げるなど急がず着実な発展を目指しておられることや、中国人社員は改革改善は苦手だが、上司の指示にまじめに従い論理的で合理的であることなど、興味深いお話をいただいた。
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     中国人スタッフからの工場案内          会議室にて質疑応答

13.アシックス【広州】  13:30~14:40
 アシックスの海外拠点での生産動向と中国拠点の役割を伺った。中国では、現地工場と協業したシューズの開発や生産管理対応に重点をおき、生産工場も中国の中で人件費の安いところ、更にはベトナム、インドネシアへ生産が移転している。従って、これから中国もアシックス製品への評価が高まるにしたがい、中国市場向けの生産は、中国国内生産のみに留まらず、アジアの他国で生産したものが中国へ輸入されてくる割合も高くなると推察される。
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                 アシックス広州事務所にて

◇9月10日(土)
14.JETRO香港  9:30~11:00
 中井次長から香港の経済概況、長期的展望、進出にあたってのメリットを伺った。中国の贅沢禁止令の元に中国からの旅行者が減少しており、香港のGDP成長率は落ちている。その反面香港人の日本への旅行者数は150万人で、日本人の香港への旅行者数である100万人より多く、香港の人口の732万人を考えると5人に一人が日本に旅行していることになる。日系企業の香港進出のメリットとして、フリーポートであるため貿易の中継地となっている。進出・撤退が容易で、国際感覚豊かな人材が多く、反日感情は殆ど見られない。日本の最大の農林水産物の主出先であり、日本食ブームであり、伸び代は大きいという印象であった。
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                  中井次長からのプレゼン

◇9月11日(日)
香港⇒日本
香港国際空港から9:40のフライトで成田経由で小松空港に20時到着。

お問い合わせ先

福井県立大学 地域経済研究所
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