コラム舞若道の効果とそれを生かすための課題

江川 誠一

 嶺南にとって、長年の悲願であった舞若道が、7月20日に全線開通した。地元の期待も大きく、観光はもちろんのこと、地域経済や人々の暮らしに大きな効果がもたらされる可能性がある。
 まず、直接的な効果として、今回の小浜ICから敦賀JCTまでの開通によって、小浜から敦賀が約1時間かかっていたものが30分に、金津ICから大飯高浜ICまでが1時間40分ほどで結ばれる。嶺南の地域内移動が1時間以内になり、県内の主要都市間の移動が2時間みておけば余裕があるという県土構造になった。2時間を切るということは、ノンストップ、もしくはワンストップで行ける距離になるということであり、高速道路で目的地近くまで行けるということは、運転ストレスの低減や定時性の確保にもつながる。これまでは、嶺南を横に貫く道路は国道27号と梅街道だけであり、近距離の移動と広域的な移動を同じ道路でさばいていた。これが、舞若道の開通によって明確に分担され、一般道における交通の円滑化も期待される。
 次に間接的な効果であるが、舞若道の全線開通によって、福井県を含めた関西と中京地域を結ぶ大きなループ状になった高速道路が浮き上がってくる。環状化によって人や物の流れが大きく変わり、それに伴ってこの嶺南に少なくない影響が生じる。例えば、この環状の高速道路は、観光面において周遊ルートとしてかなり有望になるが、物流面でも大きな効果を生む。環状になるということは、物流ルートが2ルートでき、災害や事故等の際にも迂回が可能となるという利点と、複数箇所を回って効率的に集配ができるという利点がある。これらを生かした物流拠点あるいは生産拠点の嶺南への立地も期待したい。また、東日本から西日本への広域的な物流を考えた場合、日本海側における高速ネットワークの充実・強化にも資するなど、大きな意義がある。
 以上のように、舞若道で新たなつながりが生まれ、あるいは、これまでのつながりが太くなることにより、期待される効果は観光分野から物流分野、そして生活分野にまで及ぶ。しかしながらこの期待を確かなものにするためには、受け身で待つだけではなく、この道路整備を生かして地域自らが環境変化に対応していかねばならない。今は、高度経済成長時代ではなく低成長時代にあり、今後は人口減少と高齢化がますます進んでいく。新幹線や高速道路ができれば、それだけでバラ色の未来が描けた時代ではない。また、成功事例の模倣をすれば、同じような成果が導かれるという時代でもない。この高速道路を生かした自立的で個性的なまちづくりを進めていくとともに、誰をつなぐか」、「なぜつなぐのか」、「どこをつなぐのか」、「なにをつなぐのか」、「いつつなぐのか」、「どのようにつなぐのか」ということを、行政が、企業が、地域が、住民が、それぞれ主体的かつ連携を取りながら、戦略的に考えていく必要がある。

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