都市地域計画のイノベーションと情報ロックインの挑戦

福井県立大学地域経済研究所 教授 フロレス漆間 アンドレア百合

 新技術と気候条件の融合は、都市や地域計画に革新をもたらしている。スマ
ート技術の導入と適応戦略を通じて、都市や地域は、将来の課題やチャンスに
備え、より回復力があり、持続可能で、住みやすい場所を目指している。COP
28(2023)では、脱炭素化と気候変動への対応力強化が主要議題として取り上
げられ、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の下で議論が行われた。都市部に焦
点を当てることは、特に重要、世界の温室効果ガス(GHG)排出量の約70%を
都市部が占めており、すべての地域の持続可能性に大きな影響を与えるからで
ある。福井県では、土地の約74.54%が森林に覆われている一方、都市部はわ
ずかな土地面積しか占めていないが、人口の60%以上が都市部に集中して、地
域システムの未来を形作る上で都市部が重要な役割を担っている。

 2014年に全国的に施行された立地適正化計画(都市再生特別措置法の下)に
基づき、2023年に福井県の都市計画では、8市3町が都市の持続可能な未来を推
進するための戦略を示している。この戦略は、公共交通の拠点周辺にサービス
や居住空間を集約するコンパクトな都市圏の形成に重点を置いている。中心市
街地の活性化が優先され、住民や企業にとってより魅力的な地域となることが
目指されている。さらに、人口減少に対処し、都市の長期的な活力を確保する
ために、特に若い世代や家族を都市中心部に呼び戻す政策が進められている。
気候変動の緩和と回復力を強化するため、グリーンインフラや透水性土壌の整
備を含む新政策も進行する必要がある。しかし、これらの実現には、特に構造
的・制度的なロックインに対する課題に取り組む必要がある。

 土地利用管理に関連する構造的ロックインはその典型的な例である。これに
は、地域の制度や規則に深く根ざした土地の権利制度に関する制度的ロックイ
ンや、変更が難しい土地利用パターンや所有構造を持続的に確立する経路依存
性が含まれる。さらに、あまり認識されていないものの重要な情報ロックイン
も存在し、公式・非公式の土地利用に関する情報不足が原因で停滞が生じるこ
とがある。このようなロックインの具体例としては、戦後の都市計画によって
支持された隔離、低密度開発を促進した郊外化や都市スプロールを助長する政
策、そして工業化の遺産などが福井、坂井、敦賀周辺に見られる。これらの課
題を克服することは極めて重要であり、特に情報ロックインへの対応が鍵とな
る。

 情報ロックインは、福井県における都市や地域の将来を妨げる要因となり、
意思決定に必要なデータへのアクセスを制限している。この制約は、新技術の
導入を阻害し、利害関係者間の協力を困難にし、断片的なアプローチを引き起
こす。また、古い土地利用慣行を強化し、関連情報へのアクセスを制限するこ
とで、公共の関与が減少する。十分に文書化されていない、またはアクセスが
困難な歴史的な土地利用データや政策が存在する場合、現在および将来のニー
ズに適さない古い慣行が持続するリスクがあり、土地管理などにおける非効率
が続く可能性がある。これらの課題に対処することは、データアクセスの向上、
透明性の推進、そして地域の持続可能で調和の取れた未来を確保するために不
可欠である。

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