福井県の介護状況と女性の介護と仕事の両立支援

成田 光江

 少子高齢化に伴う人口減少により働く年代が減少している。特に高齢化が進む福井県は減少のふり幅が大きくなると思われる。また、福井県は夫婦共働き率日本一である。高齢化の進展に伴い仕事と親の介護を両立する女性の増加も予測される。今以上に女性が活躍できる環境を整えなければ、地域経済の活性化は難しい。そこで本稿では、福井県の介護状況と、女性の介護と仕事の両立支援について考えてみたい。
 福井県は三世代同居・近居が多く、夫婦共働き世帯の中には、親世代による子育てや家事の支援を得ながら仕事を継続している女性も多い。県の優れた子育て支援策と、三世代同居・近居による親世代の互助は、福井県に住まう女性の子育てと仕事の両立を支える重要な地域資源である。しかし、ひとたび親が疾患で入院すると状況は一変する。病院を退院した親に看護・介護が必要な場合、女性はそれまで親世代にお願いしていた子育てや家事を自分で行わなければならない。加えて、入院中は看護師やリハビリ職等が行っていた親の看護・介護を自宅で継続する必要がある。特に、祖母が倒れた場合は大変で、働きながらの育児・家事に、祖母の看護・介護と祖父の日常のお世話が加わる。こうして子育て中の勤労女性は、親が倒れた日を境に一気に手が回らなくなるのである。親世代もそれを理解しており、疾患や加齢で娘や嫁の育児や家事を支援できない状態になると、「迷惑はかけられない」と自ら施設入所を希望するケースが散見される。
 介護施設の整備状況も女性の介護と仕事の両立のしやすさに関係する。例えば大都市圏で高齢者施設への入所を希望しても、自宅近くには高額な施設しかない、入りたくても空きがない、支払い能力に見合った施設は自宅から遠方にしかない等の場合が多い。一方福井県は高齢者施設の整備が進んでおり、比較的容易に希望する施設に入所することができる。安価な公的施設への転入所も早いため、施設費用による過度な家計の圧迫も少ない。福井県は、施設入所による施設ケアを受けやすい地域なのである。
 施設ケアは、在宅医療・看護・介護を推進する国の意向に反するものである。しかし、仕事をしながら子育てと介護のダブルケアや、難病や障害児・者への生活援助、複数人を介護する多重介護等、多重のケアを抱える女性が自宅でケアを続けることは困難である。子育てと違い介護には終わりがみえない。特に自宅で家族を看護・介護する女性は、終わりがない介護に疲弊し心身の健康を害していく。できないものはできないと割り切り、利用できる地域資源を利用して仕事を継続する勇気が必要である。
 長年続けてきた男女の働き方や暮らし方、ものの見方や考え方を変えることは難しい。しかし、やらなければ何も変わらない。親を看護・介護する女性が身体と心の健康を保ち、職場や地域で活躍する機会を奪わないよう、周囲も適切なサービスの利用を勧めることが重要だと思う。

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