調査研究平成30年度

地域経済部門

研究課題

地域経営分析―福井県経済の現状分析から、福井モデルの確立・体系化を図る―

研究内容

 近年、三大都市圏を除く地方圏では、人口減少それに伴う労働力人口の減少など、地方創生に関わる課題が数多く取り上げられるようになった。とりわけ福井県においては、全国より速いスピードで進む人口減少と、それに伴う労働力人口の減少を如何に緩やかなものとするかが重要な課題であり、そのためには、人口の自然増を促す施策は無論のこと、人口の社会増加策として、若者を問わず中高齢者までを含めた域内在住の促進を如何に促すかが大きな課題となっている。
 そこで、本研究では、福井県の地域特性分析から、幸福度ナンバーワンの福井モデルを確立・体系化し、福井県が保有する魅力を全国に発信する解説書を作成することを目的とする。

主な研究内容
・福井県の成立と歴史的発展過程、現状での経済・社会環境、市まちごとの地域特性さらに地域の公共政策面での特徴も含めながら整理する。
・企業部門、家計部門、地域の公共政策など、それぞれの部門で福井県が保有する強みを整理する。
・福井県の主要産業の歴史的発展経過と現状分析、将来像や福井県企業の特徴、強みの紹介および整理。

・以上の福井モデルを参考にして、地域経営とはいったいどうゆうことか、地域経営の本質を整理する。
研究員
  • 南保 勝(福井県立大学地域経済研究所長、教授)
研究課題 訪日外国人観光マーケティングに関する調査研究
(福井県観光営業部からの受託事業)(新規)
研究内容

 訪日外国人観光客が急増し平成29年には2,869万人を数え、本年は3千万人突破が確実視されている。しかしながら、福井県を訪れる外国人は平成29年で約7万人に止まり、都道府県別で46番目に甘んじている。日本人の国内旅行者数が頭打ちのなか、本県にとって伸び代が大きく、かつ一人当たり観光消費額が約15万円と経済効果の高い外国人観光客の増加が求められている。
 そこで、平成34年春の北陸新幹線敦賀開業を控え、本県を訪れている外国人観光客の現状および潜在的な需要を探るために、県内主要観光地および小松空港、京都駅において、外国人観光客へのアンケート調査を実施する。そして、その結果を分析し今後の対策を提言する。
・県内主要観光地における外国人観光客へのアンケート調査
・小松空港、京都駅における外国人観光客へのアンケート調査
・本学の留学生を交えたアンケート結果の考察(ワークショップ)

・分析および提言
研究員
  • 江川 誠一(福井県立大学地域経済研究所講師)
研究課題 公民学連携による三国湊賑わい創出に関する調査研究
(坂井市総合政策部からの受託事業)(新規)
研究内容

 平成30年5月、坂井市三国湊地区において、人口減少による地域が抱える課題に対し、市民と行政による協働、地域活動団体、民間事業者及び大学等が連携して様々な事業に取り組むため、アーバンデザインセンター坂井(以下、「UDCS」と記す)が発足した。そのUDCSの最初のプロジェクトとして、本調査研究が実施される。
 導入ゼミ「観光と地域資源」において、坂井市、リコージャパン株式会社の協力を得ながら、「三国湊デジタルマップ」を作成する。具体的には、学生が若者目線で歴史的な街並みのなかから観光資源となるものを発見し、それをマップに落とし込む。その成果は、三国湊地区の観光まちづくりに生かすとともに、マップ自体をプロモーションや観光客の利便性向上に活用することを予定している。
・学生による現地フィールドワークの実施
・デジタルマップの作成
・完成したデジタルマップの地域住民への発表

・とりまとめと考察
研究員
  • 江川 誠一(福井県立大学地域経済研究所講師)
研究課題 「ふくい創生・人口減少対策戦略」の効果検証
研究内容

 「ふくい創生・人口減少対策戦略」に係る各施策の進捗状況と事業効果の検証を行う。とりわけ、近年の人口・世帯動向との関係に着目し、人口減少対策としての有効性を主たる分析のターゲットとしたい。同時に、福井県外において展開されている様々な取り組み事例を参考として福井県に導入可能な新規施策についても検討する。
 2015年に策定された各地域の「地方創生戦略」は来年度後半から本格的な見直し作業に入る。今年度は「地方大学・地域産業創生事業」や「地方創生に係る検証・調査事業」等を活用し、福井県における雇用、伝統産業、地場産業等に関する実態調査もあわせて実施する予定である。

研究員
  • 佐々井 司(福井県立大学地域経済研究所客員研究員)
研究課題 小規模自治体の地域経済計算に関する研究(継続)
研究内容  福井県では、平成15年度に関する推計を最後に、市町村内総生産の推計を行っていない。しかし、市町にとっては、その域内でどの分野の経済活動がどれだけ行われ、市町民の所得がどれくらいあり、域外に対する移出入がプラスなのかマイナスなのか、あるいは経常収支がどうなっているかを把握したいところであり、それによって、政策の効果をイメージしたいところである。そこで、県内の小規模自治体である池田町を例に、地域経済計算の推計を行う。
 近年の類似の試みには、環境省の「地域経済循環分析用データ」(https://www.env.go.jp/press/101755.html)があり、そこから有料で市町村の「地域経済計算」と「地域産業連関表」が得られる。しかし、推計方法は公表されていない。また、入谷貴夫『地域と雇用をつくる産業連関分析入門』(自治体研究社)には、県の産業連関表から従業者数按分によって市町村の産業連関表を作る方法が紹介されている。しかし、従業者数按分だけでは、地域の経済の姿を表すには不十分である。
 そこで、本研究では、市町の生産額が得られる産業についてはそれを使い、町の決算書から推定できる項目についてはそれを使い、事業所についていくらか詳細な情報が利用できればそれを使い、情報の少ない分野については、県民経済計算からの人口按分法も使い、それらの結果を組み合わせて、理論的に整合的な、町の経済計算を作る。その結果を政策担当者にとって有用な形で示すと同時に、以後できるだけ簡便に推計できる方法を開発する。
研究員
  • 岡 敏弘(福井県立大学経済学部経済学科教授)
研究課題 北陸地方の女性就業とキャリア形成に関する研究
研究内容  今年度の研究は、昨年度の研究テーマ「地方企業での女性人材の活用とキャリア形成に関する研究」の継続として進めるものである。
 昨年度の研究においては、福井県の女性就業の状況を社会経済指標等を基に分析するとともに、福井県内企業に対して「女性就業と活用に関するアンケート調査」を実施しその結果を『福井県の女性就業と活用に関する調査・研究の報告書』(2018年)にまとめた。その過程において福井県の女性就業は富山県、石川県の女性就業と就業業種や職種、及び管理職への昇進意識など同じ特徴を持つことが分析できた。
 今年度は昨年度の研究を二つの方向で深耕する。一つは、企業への調査だけでなく女性従業員自身に職場環境の満足度や管理職への昇進意識を調査し分析することである。もう一つは職場における女性活用の事例調査である。女性人材の活用・育成には(1) 女性社員のキャリア形成への意識の向上、(2)就業継続のための職場環境の整備、(3)育成のための教育制度の充実の3要素が必要になる。これらを具体的にどのような形で取り入れているのか、事例を調査する。女性活用の事例調査においては対象を福井県だけでなく北陸3県の企業・団体に広げることにより、広範囲な業種での女性活用の取り組みが分析できるのではと期待している。
  以上の調査・分析を通して、福井県並びに北陸3県という環境条件、地域性に適合した女性活用のモデルを例示し、企業や団体の女性活用制度の導入、推進に貢献できればと考えている。
研究員
  • 中里 弘穂(福井県立大学キャリアセンター教授)
研究課題 「福井経営モデル」の整理と他地域との比較研究
研究内容

 これまで行ってきた、福井県のモノづくり企業の持つ特長に関するインタビュー調査、及び、それに関わって実施したシンポジウムの内容を取りまとめて公表することで、福井のモノづくりとそれを支えるヒトづくりの実態と強み、そして地域性との関連について一般の方々に広めていくことを目的としている。

 また本研究は、本学の中期経営計画「県民が誇りを持てる研究の推進と地域社会への貢献」に掲げられた研究課題のひとつでもある。
研究員

木野 龍太郎(福井県立大学経済学部経営学科教授)
木下 和久(福井県立大学経済学部経営学科准教授)

研究課題 福井企業における先進的管理会計実践の探究
研究内容  福井で活躍している企業に対して聞き取り調査を行い、管理会計の視点から、その企業の競争力の源泉を探る。例えば、アメーバ経営の導入・実践や、製造現場における会計の効果的な活用など、実務における管理会計の実践事例など、先進的・特徴的な事例の調査を行う。当面は事例の蓄積を行い、将来的には管理会計学における理論的貢献の可能性について検討する。
研究員

アジア経済部門

研究課題 連結するアジアの展望と課題(新規/継続)
研究内容  ASEAN経済共同体(AEC)、包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)といったアジアを取り巻く広域的経済圏の現状や課題について整理するとともに、日本への影響を含め、今後の見通しや日本の役割などについて考察を加える。
研究員
  • 池下 譲治(福井県立大学地域経済研究所教授)
研究課題 国際ビジネスの倫理的課題とアジアの動向(新規)
研究内容

 本研究における問題意識は、そもそも「ビジネス活動に国際的な規範が存在するのか」という点にある。これまで、多国籍企業は受入国と本国との間に異なるビジネス規範が存在する場合、受入国の規範に従うのがもっとも合理的とされてきた。そして、国の違いがある以上、倫理的な側面から国際ビジネスを規制するのは不可能ではないかと考えられてきた。しかし、グローバリゼーションの拡大・深化とともに、国際ビジネスに共通の規範が生まれつつある。
 2011年国連人権理事会において「ビジネスと人権に関する指導原則」が全会一致で承認されて以来、国際ビジネスにおける人権問題への関心が高まっている。こうしたテーマはアジアの貿易交渉ではこれまであまり取り上げられてこなかったが、TPPで労働章が設置されたことで、今後のマレーシアやベトナムにおける日本企業の経営の在り方にも影響が及ぶことが懸念されている。
 本研究では、まず、TPPなど最近の経済連携協定における「労働章」の意味するところを解明する。さらに、過去に日本企業が巻き込まれた事例などを検証するとともに、今後、グローバルビジネスを展開する上で留意すべき倫理的課題について、理論的側面やアジアの動向なども踏まえて考察する。

研究員
  • 池下 譲治(福井県立大学地域経済研究所教授)
研究課題 アジア等の開発途上国との互恵ビジネスの可能性について(新規)
研究内容

 アジアの開発途上国などには、いまだに清潔で安全な水資源の確保に苦しんでいる国や教育環境が整わず貧困状態から脱することが困難な地域など、さまざまな問題を抱えている国や地域が存在する。一方、自治体や企業の中には、その技術やノウハウなどを活用して、こうした地域の発展を支援するとともに、その支援活動を通じて自らの地域社会が抱える課題の解決や新たなビジネス・モデルや市場の創造につなげようとする動きもみられる。
 本研究ではCSV(共通価値の創造)の概念も踏まえ、現在、進められている具体的なケースを基に、その背景や目的、さらには今後の課題などについて考察する。

本研究で取り上げる予定のケース:
(1) 福井県大野市の東チモールへの水道支援プロジェクト

(2)学研のインドネシア・パレパレ市における公教育支援「アフタースクール事業」
研究員
  • 池下 譲治(福井県立大学地域経済研究所教授)
    研究課題

    マレーシア初の政権交代の含意(新規)

    (副)マレーシア型権威主義体制下における民主化(マレーシアモデル)の可能性
    研究内容

     1957年の英国からの独立以来、初の政権交代となった背景や要因について、前回の選挙結果も踏まえ、マレーシアを取り巻く政治・経済・社会の潮流やマレーシア人自身に起こっている意識の変化にも着目しつつ整理・分析を行う。
     その上で、新政権が抱える課題や注目すべきポイント、さらには、日本企業への影響などについて考察を加える。
     本研究を通じて、(1) マレーシア型権威主義体制下における民主化(マレーシアモデル)の可能性、(2)選挙での最大関心事項とされていた「マレーシア経済」が比較的順調に推移しているにも拘らず、なぜ、政権交代が起こったのか。そこに至るマレーシア人の意識変革の本質は何か、といった点についても解明を試みる。

    研究員
    • 春日 尚雄(福井県立大学地域経済研究所教授)
    研究課題 メコン地域における越境フラグメンテーション:タイ・プラスワンの適合条件(継続)
    研究内容 タイに集中している日系製造業を中心に、主に人件費コストの削減を目的とするタイ・プラスワンが進行しているとされる。周辺国であるカンボジア、ラオス、ミャンマーのCLM諸国への越境フラグメンテーション(工程間分業)である。しかしながらフラグメンテーションが成立する際の要件については整理されておらず、どのような条件下、環境下において進行する現象であるかを研究する。
    研究員
    • 池下 譲治(福井県立大学地域経済研究所教授)
    研究課題 福井県における外国人材の採用・活用に関する調査・研究(新規)
    研究内容

     福井県のものづくり産業が今後、付加価値を高め、下請け依存的構造の要因となっている可能性のある「スマイルカーブの底」から抜け出すためには、市場のニーズをいち早く感知したり生産技術面での活性化を促してイノベーションを起こすなど、川上・川下部門に直接関与していくことが重要である。
     本研究では、その潜在的担い手としての留学生を含む高度外国人材に着目し、企業訪問や教育機関・関係者等へのインタビューなどを通じて、その採用・活用の現状や課題を明らかにするとともに、外国人材の採用・活用の在り方や方策について考察する。

     なお、本研究においては、本学での関心が高い「私費留学生」の動向についても可能な限り調査・解明を試みる。
    研究員
    • 池下 譲治(福井県立大学地域経済研究所教授)
    研究課題 ASEANの電機産業の発展と展望(継続)
    研究内容

     ASEANの経済統合が深化し、加盟国間の貿易障壁が削減されASEAN自由貿易地域(AFTA)の重要性が高まると、各国に進出する企業の戦略が変化した。電機産業においては、日系企業はASEAN域内に散在していた製品の生産拠点を再編して主にマレーシアやタイ、ベトナムに集約し、AFTAを利用して他国に輸出を行うようになった。そのため、上記の3カ国における生産量と他国への輸出額が増加する一方で他国の生産・輸出は停滞した。
     2018年には、ASEAN新規加盟国においても99%以上の品目の関税が撤廃された。ASEANは巨大市場となり、すでに大きく発展を遂げている国のさらなる生産量と輸出額の増加が期待される。その一方で、域外国からの直接投資がASEAN新規加盟国に向かうことも十分に予想される。一部の電機製品においては生産工程の一部が、タイからミャンマーやカンボジアなどに移管されている。ASEANの経済統合が先行発展国に資するか、または新規加盟国を利するか、それとも各国が均等に発展を遂げていくのか、現時点ではまだ判断がつかない。
     そこで本研究では、ASEAN各国の電機産業の現状と今後の展望を、マレーシアをはじめとしたASEAN諸国での日系企業を対象としたインタビュー調査、先行文献・統計資料の収集、生産や貿易、投資に関する各種データベースへのアクセスによって明らかにする。本年度はとくに、ASEAN経済共同体創設後の動向と米中貿易摩擦の影響を分析の中心に据え、研究を進める。

    研究員
    • 猿渡 剛(福井県立大学地域経済研究所講師)
    研究課題 北陸地方におけるグローバル人材育成の現状と課題(新規)
    研究内容

     北陸地方の製造業やサービス業が今後、付加価値を高め、下請け依存的構造の要因である「スマイルカーブの底」から抜け出すためには、市場のニーズをいち早く感知したり生産技術面での活性化を促してイノベーションを起こすなど、川上・川下部門に直接関与することが重要である。
     本研究では、北陸三県のその潜在的担い手としてのグローバル人材に着目し、インタビューなどを通じて、その採用・活用の現状や課題を明確化するとともに問題解決に向けての提言を行うことを目指す。

     池下教授の指導の下、グローバル人材のなかでも外国人社員と大学や語学学校に在籍する外国人学生に対象を絞って、本研究を進めていく。
    研究員
    • 猿渡 剛(福井県立大学地域経済研究所講師)
    研究課題 東南アジア諸国出身技能実習生の受入れと北陸経済に与える影響の実証分析(新規)
    研究内容

     北陸地方で働く外国人労働者の数は、年々増加している。北陸三県のいずれも広範な産業にわたって人手不足が深刻化しており、労働力を確保するために専門性を有する外国人労働者の誘致に加えて、技能実習生を受け入れる動きが拡大している。技能実習制度の趣旨とは裏腹に、多くの実習生が出稼ぎ目的で来日していると報じられているが、北陸経済への貢献を志し、地道に技能を習得して帰国後に活かそうとする、意欲の高い実習生も多く存在する。

     本研究では、実習生受入れの現状と今後の見通し、受入れにあたっての課題を明確に示すとともに、受入れに伴う北陸経済の変化について量的・質的把握を試みる。現時点では、以下の2点を行う予定である。(1)ベトナムやインドネシアなどの東南アジア諸国出身実習生を対象としたアンケート調査の実施。調査票を作成し、来日の目的、技能実習の効果、とくに役立つと思われる習得済みまたは習得予定の技能の種類、経済面での生活環境などの回答をまとめ、実習生受入れの実態と解決すべき課題を明らかにする。(2)先行研究のサーベイ、マクロ統計資料の収集と各種インタビュー調査の実施。労働需給逼迫の解消や消費活性化などの視点を踏まえつつ、北陸経済の変化および実習生受け入れとの関連程度の明確化を試みる。ただし時間的、予算的制約があり、北陸地方すべてを網羅するのは不可能であるため、北陸の外部研究機関の協力を仰ぎながら特定の県、産業、企業、団体に絞って研究を進める。
    研究員
    • 猿渡 剛(福井県立大学地域経済研究所講師)

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