平成29年度研究プロジェクト



地域経済部門

研究課題 伝統的工芸品産業(地場産業を含む)の振興による福井県経済の発展に関する研究(継続)
研究内容 伝統的工芸品産業及び地場産業である繊維・眼鏡枠産業をモデルに産地間、企業間連携によるブランド開発・構築に向けたリアリティーのある研究を実施する。合わせて、福井の地域資源として有効性の高い豊富な食及び食関連商品レシピの開発も目的とする。 具体的には、
① 県内伝統的工芸品の歴史的経過と現状、課題の分析
 本年度は、7大産地ごとの産業規模(事業所数、従業員数、生産額、)、技術、生産品目、産地の特徴、流通、問題点、今後の方向性について体系的な整理を行う。
② 先進地視察
 全国にある伝統的工芸品産地の先進事例を視察し、前述の方向性に関する妥当性を検証する。現時点での先進地視察候補は前年実施した岩手県の南部鉄器以外の6地域だが、時間的、予算的制約もあるため、この中から厳選し2か所程度としたい。
・佐賀県の有田焼
有田焼誕生400年を記念して、越前和紙をはじめ、全国の産地間連携など有田焼のブランド価値創造に取り組んでいる。
・燕三条
7人の侍でもお世話になっている"オーガナイザー"の明道章一(大ヒット商品平野レミ監修の"レミパン"の生みの親)氏との産地での取組は、眼鏡枠産業に参考になる。
・秋田県湯沢市の川連漆器
「現代和風」をテーマに、5人の若手職人が製作する高品位の製品を、既存の流通チャネルとは違った場に広く披露することによりブランドイメージを向上させている。
・青森県津軽塗
多様化した生活様式にマッチした「和洋共生」型の商品の開発を行い、洋食器とのコラボレーション及びテーブルセッティングによる生活提案を一般消費者に行うことにより、「津軽塗」を全国区のブランドとして定着させる。
・児島県大島紬、薩摩焼、川辺仏壇
 産地間連携による新製品開発に取り組み、平成18年度からは3者が共同で開催する「さつまの伝統的工芸品フェスタ」を開催、産地を超えた横のつながりにより、これまでにない新製品開発が行われている。
・石川県輪島塗、石川県商工労働部経営支援課伝統産業振興室
輪島塗では、洋陶器メーカー「株式会社ノリタケ」(名古屋市)と提携して、ノリタケが制作した磁器を器胎に新開発された漆塗技法により漆塗を施し、蒔絵等の装飾を施して高級食器やインテリア用品を開発。
............等。
③ 「福井の食」関連商品開発の検討
地域資源として有望な「福井の食」にスポットを充て、伝統的工芸品産業をトレンディー産業として変身すべく、「新たな福井の和食レシピ」開発や食関連商品開発(「Bentou箱」開発)などを行い、福井地域における伝統的工芸品のコラボによる商品開発を模索する。合わせて、ここでは地元の伝統料理としてのアラレガコにも注目し、商品化についても検討する。
研究員
  • 南保 勝   (福井県立大学地域経済研究所長、教授)
研究課題 福井県における域内企業の取引構造に関する基礎調査(継続)
研究内容 戦後の日本経済を振り返ると、これまで地域を支えた産業、企業の多くは、高度に発達した生産分業システムを武器にモノづくりに専念し、かつての高度成長時代が示すように世界有数の国際競争力を誇示した時代がみられた。つまり、この日本型生産システムの中に組織化された企業群が分担した生産・加工機能を絶えず高め、頂点に立つセットメーカー或いはその意向を受けた親会社・取引先企業の要求をクリアーするために全力投球することで高度成長を成し遂げてきたのである。そして、21世紀を迎えた今、親会社・取引先企業のグローバル化・ボーダレス化、それに伴う産業構造の大転換が進む中で、地元の地域産業・企業においても、これまで維持した企画・生産・販売システムそのもののあり方を見直す必要性に直面している。
こうした課題を理解したうえで、本研究は、地域企業間・業種間取引構造の実態や福井県産業界での構造変化を把握し、将来的に対応可能な経営戦略のあり方、県内中小企業にふさわしいネットワークとはいったいどうあるべきかを研究するものである。
具体的な研究テーマとしては、
① 県内産業界における構造変化の把握と相互依存関係の現状分析
② 実証研究による今後の構造変化の類推と、それに伴う県内経済への影響分析
③ 福井県で必要とする経営戦略のあり方研究
④ 企業間・産業間ネットワークの方向性分析
2年目にあたる本年度は、県内企業1,000社を対象とするアンケートを実施することで、上記課題の解明に注力するものである。
研究員
  • 南保 勝   (福井県立大学地域経済研究所長、教授)
研究課題 北陸新幹線金沢開業効果に関する調査研究(北陸経済連合会からの受託事業)(継続)
研究内容 平成27年3月の北陸新幹線金沢開業による北陸三県への経済的・社会的な効果について考察する。また、広域的な高速交通体系の整備が開業後の地域社会に与えた影響を把握するとともに、地域や分野による量的・質的な影響の違いについても明らかにする。さらには、各地域における金沢開業対策の概要およびそれらの短期的な成果を整理するとともに、今後の課題等を分析する。
・各地・各分野における金沢開業効果の整理
・金沢開業による経済的効果の測定
・金沢開業による社会的効果の分析
・各地域における金沢開業対策の整理とその短期的な成果
・北陸新幹線に係る北陸の持続的な活性化に向けた今後の課題
・今後開通予定地域の課題(まちづくり等)
研究員
  • 江川 誠一  (福井県立大学地域経済研究所講師)
研究課題 坂井市ゆりの里公園再整備構想に係る調査研究(新規)
研究内容 「ゆりの里公園」は坂井市春江町に立地する15万輪のゆりが咲き誇る公園であり、農業振興施設として位置づけられている。既存施設に加え、本年度中に直売所、レストランおよびライトアップなどの整備が完了するが、現時点では地域の賑わい創出や経済効果を実感できるまでには至っておらず、観光施設としての再整備が行政や地元から強く求められている。
そこで、現地調査、学生や地域住民によるワークショップの実施、専門家や行政の知見・意向等のヒアリング調査、事例研究等を通じて、同公園の再整備に関する方向性を考察し、その結果をとりまとめる。
研究員
  • 江川 誠一  (福井県立大学地域経済研究所講師)
研究課題 小規模自治体の地域経済計算に関する研究(新規)
研究内容 福井県では、平成15年度に関する推計を最後に、市町村内総生産の推計を行っていない。しかし、市町にとっては、その域内でどの分野の経済活動がどれだけ行われ、市町民の所得がどれくらいあり、域外に対する移出入がプラスなのかマイナスなのか、あるいは経常収支がどうなっているかを把握したいところであり、それによって、政策の効果をイメージしたいところである。そこで、県内の小規模自治体である池田町を例に、地域経済計算の推計を行う。
近年の類似の試みには、環境省の「地域経済循環分析用データ」(https://www.env.go.jp/press/101755.html)があり、そこから有料で市町村の「地域経済計算」と「地域産業連関表」が得られる。しかし、推計方法は公表されていない。また、入谷貴夫『地域と雇用をつくる産業連関分析入門』(自治体研究社)には、県の産業連関表から従業者数按分によって市町村の産業連関表を作る方法が紹介されている。しかし、従業者数按分だけでは、地域の経済の姿を表すには不十分である。
そこで、本研究では、市町の生産額が得られる産業についてはそれを使い、町の決算書から推定できる項目についてはそれを使い、事業所についていくらか詳細な情報が利用できればそれを使い、情報の少ない分野については、県民経済計算からの人口按分法も使い、それらの結果を組み合わせて、理論的に整合的な、町の経済計算を作る。その結果を政策担当者にとって有用な形で示すと同時に、以後できるだけ簡便に推計できる方法を開発する。
研究員
  • 岡 敏弘  (福井県立大学経済学部経済学科教授)
研究課題 地方企業での女性人材の活用とキャリア形成に関する研究(新規)
研究内容 福井県は女性の就業率、共働き率は全国1位と高いが、管理的業務に従事する女性の割合は13.6%と全国46位(平成25年度調査)の低い状況にある。その要因の一つが福井県はじめ北陸地方では製造業が多く立地し、女性の活躍の場が限定されることにあると言われている。今後の福井県における労働人口の減少、並びに少子化の進行を考えた時、地方においてこそ家庭と仕事を両立した上で女性就業者がその力を発揮し、男性と同様に活躍できる社会の構築が求められている。 女性人材の活用・育成には①女性社員のキャリア形成への意識の向上、②就業継続のための職場環境の整備、③育成のための教育制度の充実の3要素が必要になる。本研究では、北陸3県の女性の活用に焦点を当て、福井県、石川県、富山県の女性社員の採用や活用状況、就業に対する女性の意識を全国との比較から考察することで、地方における女性活用の方策を考える。 具体的には
1)一般に女性社員を活用する場合には、①の女性社員自身がキャリア形成意識を持つこ とが必要になる。厚生労働省の調査では、女性の場合約6割が「役職につきたくない」と答えている。福井県並びに北陸3県の場合はどうなのか、女性従業員や女子学生へのアンケート調査を行い分析する
2)次に女性が働きやすいように、また出産や育児での退職を抑制するためには、組織が家事・育児と仕事を両立できる職場環境を整備することが必要になる。育児休業制度は当然として育児期間の時間短縮勤務や通勤への配慮等、どのような制度が整い活用されているのか調査する。
3) 更に女性が管理的業務に就く場合③の女性の育成制度が整備されているかどうかも重要なポイントになる。一般的に女性の多い職場では女性の管理職は多い。女性の上司が部下を育てる仕組みが構築されているからである。女性の管理職が少ない職場では、男性とは別に女性の能力向上を組織として形成する必要がある。今回は福井県の企業を中心にどのような女性社員育成の制度が整えられているのか調査、分析する。
以上の3方向からの分析を通して、福井県並びに北陸3県の女性活用の課題と今後の方策を提示する。
研究員
  • 中里 弘穂  (福井県立大学キャリアセンター教授)

【人口減少対策プロジェクトチーム】

研究課題 福井の幸福度と人口動向に関する定量的研究
「県民参加による県立大学地域貢献研究推進事業(継続)」
研究内容 先行研究において用いられてきた幸福度指標の検証、ならびに人口動向との関係についての定量的な分析を通じて、人口減少・少子高齢化社会において、福井県が県民の幸福度を高めるために成し得る可能性のある戦略について考察を行う。
 『ふくい創生・人口減少対策戦略』(2015年10月策定)では、"福井の有する「幸福」を人口問題の解決の新たな原動力にする"ことが戦略の冒頭に掲げられている。その背景には、これまでに公表された日本国内の「幸福度」ランキングで、福井県が47都道府県中1位であることが挙げられる。
幸福度に関する研究は国際的に実施されており、日本国内でも少なくない先行研究の実績がある。しかしながら同時に、課題も多く指摘されている。「幸福度」を測定するうえで用いられている数十項目に及ぶ構成指標が真に「幸福度」を代表するものなのか否か、また、異なる時代、異なる地域においても普遍性を担保した指標なのか、という議論は依然続いている。また、地域別に観測される幸福度と人口動態との関係が一般的に予測されるものと必ずしも一致していことなどから、幸福度指標の客観性には改善の余地が残されている。そのうえで、福井県が国内の幸福度で今後も上位を維持することの戦略的重要性や、幸福度日本一とされる福井県を拠点として地方創生に繋がる幸福度に関する学術的研究を実践することの意義は極めて大きいと考える。
なお、『ふくい創生・人口減少対策戦略』のなかの「《基本戦略1》幸福なくらしの維持・発展」「(2)「幸福度日本一」の追求」では、「③幸福と豊かさや人口の関係の研究」として"・県立大学などにおいて、幸福やGDPが人口に与える影響、関係などを研究し、幸福な福井に人口が集まるための政策に取り入れる。"と明記されており、KPI(重要業績評価指標)として、「プロジェクト応援型ふるさと納税額」の増額や「地域ブランド調査における認知度の全国順位」向上が挙げられていることから、本研究を進めるうえでもそれらの進捗状況に留意したい。
研究員
研究課題 福井県における人口減少の要因分析と具体・実践的施策の提言
研究内容 本研究は、人口減少の人口学的・社会経済的要因の分析を行い、その結果をもとに、福井県における具体的かつ実践的な人口減少対策を提言することを目的としている。
2015年度に策定された「ふくい創生・人口減少対策戦略」に掲げられた5つの基本戦略の検証、ならびに補足・修正すべき施策等について検討を行う。
具体的には、"幸福なくらしの維持・発展""結婚・出産の希望に応え自然減に歯止め""U・Iターン、県内定着を強力に促進""ローカル産業・グローバル観光革命""持続可能な元気コミュニティの形成"を目的として掲げられた各施策のもたらす効果について検証し、補足・修正が必要と思われる具体的施策を提案すること等を通じ、今後福井県が進める「ふくい創生・人口減少対策」の在り方に関する問題提起を行うものである。
 なお、本研究は主として、平成27~28年度 大学連携リーグ連携研究推進事業の継続事業として、県および市町との共同研究プロジェクトとして行うものであり、今年度は集落実態調査など県との共同事業を併せて実施する。
研究員
研究課題 日本における人口移動と結婚行動との関連性(継続)
研究内容 日本は今後、人口減少と少子高齢化が地域差を伴って進行する社会であり続ける。こうした状況を生じている大きな要因は、過去の非大都市圏から大都市圏への人口移動の結果としての人口分布変動であり、過去の家族形成行動である。本研究では、戦後日本において、人口移動と家族形成行動(結婚・出産・親との同近居等)がどのように関係し、また、その関係がどのように変化したのかを分析することを通じて、今日の日本の人口問題を考える新しい視点を提起したい。特に東京圏への一極集中と日本全体の少子高齢化との関連性の人口学的メカニズムを明らかにすることを試みる。少子化の研究では、その要因を検討するに当たり、学歴・年収等の社会経済的属性を分析するものが多いが、人口移動の影響を考慮するものは多くない。本研究では、移動経験の有無による結婚行動の違いや、親の居住地等が家族形成行動に与える影響も検討し、地理的要素と少子化との関連性という分析視点を構築したい。
研究員
  • 丸山 洋平  (福井県立大学地域経済研究所特命講師)
研究課題 北陸3県の人口動態変動(継続)
研究内容 北陸地方は出生率が高く、女性労働力率が高く、3世代同居割合も高い地域である。それ故に、地方創生への各種政策形成においては、北陸地方をモデルケースとするような向きも少なからず見られた。幸福度の高さも含め、北陸3県はこれらの要素を自県のプラスの側面であるとして捉えている。しかし、これらの値が非常に単純な人口統計から得られていること、その相対的な高さの要因、とりわけ社会経済的条件との関連性が明らかになってはいないことといった課題もある。現状の知見からでは、北陸3県が仕事と家庭を両立でき、世代間のつながりも強い地域に見えるものが、実はそれらの条件を満たした者が地元に残りやすく、それ以外の者が転出しやすいことによるセレクションの結果であることを否定できない。もし、後者のような状況があるならば、北陸3県は万人にとって住みやすい地域ではないともいえるだろう。今後の人口減少、少子高齢化への対策がより効果を発揮できるようにするには、人口動態を正確に把握することが重要であり、出生率等の人口変数の変化や相対的な高さのメカニズムを明らかにすることが必要である。昨年度、北陸3県の市町村別出生率較差の要因を分析し、大きな地域較差を確認している。本年度は、この研究を発展させることに加え、人口移動の地域的差異の分析や女性労働力率の相対的高さの要因分析、それらの社会経済変数との関連性の分析等を通じて、北陸地方の人口動態変動の実態を明らかにする。
研究員
  • 丸山 洋平  (福井県立大学地域経済研究所特命講師)
研究課題 将来人口推計の政策利用支援(新規)
研究内容 人口減少、少子高齢化が進むなか、各地方自治体は各種政策形成過程において、将来人口の見通しを考慮することの重要性が増している。しかし、これまで地方自治体には将来人口推計や地域人口分析のノウハウを蓄積するような機械はあまり多くないことに加え、将来人口推計を政策生成過程にどのように反映するのかという方法論も十分に確立されてはいない。そのため、2015年度にほぼ全ての地方自治体が地方版総合戦略と地方人口ビジョンを策定しているが、その中の将来人口推計は国から提供されたワークシートを活用するケースが多く、まち・ひと・しごと創生本部が示す日本全体の将来の人口見通しに沿った形での将来仮定が置かれており、必ずしも各地域の実情を反映していない将来人口シミュレーション結果が提示されることとなった。2015年国勢調査の結果が出揃っており、今年度は多くの地方自治体が新しい将来人口推計に取り組むことになる。その過程で、どのように将来人口推計を実施し、どう政策に利用するのかということを、福井県内市町へのヒアリングや推計業務支援を通じて模索する。
研究員
  • 丸山 洋平  (福井県立大学地域経済研究所特命講師)


アジア経済部門

研究課題 次段階を迎えるASEAN地域統合:AEC2025が目指すところ(継続)
研究内容 ASEAN経済共同体(AEC)が次期計画として公表しているAEC2025の各計画が、ほぼ揃ってきている。従来の延長であると言える計画もあるが、新しい概念が取り入れられているケースも見られる。ここまで順調に推移してきたASEAN共同体形成による地域統合であるが、近年の経済の減速、地政学的な変化を取り込むことも求められよう。ASEANは東アジア地域包括的経済連携(RCEP)締結などをテコとし、どのような地域統合を指向するのかを研究する。
研究員
  • 春日 尚雄 (福井県立大学地域経済研究所教授)
研究課題 メコン地域における越境フラグメンテーション:タイ・プラスワンの適合条件(継続)
研究内容 タイに集中している日系製造業を中心に、主に人件費コストの削減を目的とするタイ・プラスワンが進行しているとされる。周辺国であるカンボジア、ラオス、ミャンマーのCLM諸国への越境フラグメンテーション(工程間分業)である。しかしながらフラグメンテーションが成立する際の要件については整理されておらず、どのような条件下、環境下において進行する現象であるかを研究する。
研究員
  • 春日 尚雄 (福井県立大学地域経済研究所教授)
研究課題 ASEANにおける基準認証分野のハーモナイゼーション(新規)
~その可能性と限界および日系企業への影響についての考察~
研究内容 ASEAN経済共同体(AEC)は2015年末までの設立が目標とされていたものの、実際には未達成となっている分野も少なくない。基準認証分野における調和や相互承認協定(MRA)もそのひとつである。特に、アベノミクスの成長戦略との関連からも注目される医療機器のASEANにおけるMRA(AMDD)については、全体の枠組みは出来上がったものの、実際の運用面や各国法制度への反映が十分ではないなど、所期の目的を達成するにはさらに解決すべき問題が山積されている。一方、日系企業からは、その仕組みや活用方法がよく分からないといった声も聞かれる。そこで、今後の日本企業の対ASEAN戦略における重要性に鑑み、医療機器分野などを中心にASEANにおける基準認証分野のハーモナイゼーションの現状と課題について整理する。さらに、その可能性や限界とともに、日系企業への影響についても考察を加える。
研究員
研究課題 多文化・多民族国家における経営戦略のあり方に関する研究(新規)
研究内容 アジアにおける世界の縮図ともいえるマレーシアの経験を通して、日本企業の採るべき国際経営戦略について研究する。特に、ブミプトラ政策にみられる独自のアファーマティブアクションの背景や現状、さらには、ハラル市場など異文化圏(イスラム圏)への参入の可能性についても考察を加える。出口戦略として、まず、マレーシアにおいて、各層毎のほかすべての層に有効なアプローチについても考察する。有効なアプローチが見いだせたならば、第2段階として、他のASEAN諸国や延いてはグローバル市場における有効性についても検証を試みる。その結果を踏まえ、今後、日本企業が採るべき国際経営戦略について提言することを目指す。
研究員
研究課題 サービス貿易・投資の自由化の側面からみたASEAN経済統合の進展(新規)
研究内容 1980年代以降、ASEANの経済統合が深化してきた。ASEAN自由貿易地域(AFTA)の確立やASEAN経済共同体(AEC)の創設に伴い、関税削減が一段と加速した。2017年現在、ASEANの原加盟国においては99%以上の品目で関税が撤廃されており、AFTAの利用率はほぼ毎年、上昇している。
このようにASEANでは財貿易の自由化が進展しているが、その他の分野の自由化も著しく進んでいる。過去にASEAN域内におけるサービス貿易や投資の自由化の水準を示す指数を計測したところ、すべてのASEAN加盟国が自由化を進めており、とりわけ新規加盟国の自由化が顕著に進展していることが判明した。ASEAN域内の自由化水準は急激に上昇し、中国の水準を追い抜き、日本や豪州、ニュージーランドの水準に接近している。ASEANはアジア・オセアニア地域における一大自由貿易・投資地域となりつつあると結論づけられる。
しかしながら、ASEANが今後さらなるサービス貿易や投資の自由地域へと発展するためには、予定スケジュールよりも大幅に遅れている外国資本規制の緩和を進め、サービス分野を細分化し自由化を約束しないサブセクターを追加する「見せかけの自由化」問題を一刻も早く解決しなくてはならない。そのためASEANは、2017年までに外国資本規制の緩和を行うとしている。また、ASEANは現在、サービス貿易協定を策定中であり、新たに法律文書を作成してサービス貿易の自由化に法的拘束力を付与しようとしている。そこで本研究では、ASEAN地域統合を研究する本研究所の春日教授と連携し情報を交換しながら、統計資料の収集、各種データベースへのアクセスを通じて、今後数年でさらなる進展が見込まれるサービス貿易・投資の自由化の進展状況を明らかにする。
研究員
  • 猿渡 剛 (福井県立大学地域経済研究所講師)
研究課題 ASEANの電機産業の発展と展望(新規)
研究内容 ASEANの経済統合が深化し、加盟国間の貿易障壁が削減されAFTAの重要性が高まると、各国に進出する日系企業の戦略が変化した。電機産業においては、日系企業はASEAN域内に散在していた最終製品の生産拠点を再編してマレーシアやタイに集約し、AFTAを利用して他国に輸出を行うようになった。そのため、マレーシアやタイにおける生産量と他国への輸出額が増加する一方で他国の生産・輸出は停滞した。
2018年には、ASEAN新規加盟国においても99%以上の品目の関税が撤廃される見込みである。ASEANは巨大市場となり、既に大きく発展を遂げているマレーシアやタイのさらなる生産量と輸出額の増加が期待される。その一方で、域外国からの直接投資がマレーシアやタイではなくASEAN新規加盟国に向かうことも十分に予想される。すでにベトナムに対しては大規模な投資が行われており、一部の電機製品においては生産工程の一部がタイからカンボジアを始めとする新規加盟国に移管されている。ASEANの経済統合がマレーシアやタイにのみ資するか、または他の加盟国を利するか、それとも各国が均等に発展を遂げていくのか、現時点ではまだ判断がつかない。そこで本研究では、ASEAN各国の電機産業の現状と今後の展望を、ASEAN現地でのインタビュー調査や文献・統計資料の収集、各種データベースへのアクセスによって明らかにする。
研究員
  • 猿渡 剛 (福井県立大学地域経済研究所講師)

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