アジア経済部門

研究課題 次段階を迎えるASEAN地域統合:AEC2025が目指すところ(継続)
研究内容 ASEAN経済共同体(AEC)が次期計画として公表しているAEC2025の各計画が、ほぼ揃ってきている。従来の延長であると言える計画もあるが、新しい概念が取り入れられているケースも見られる。ここまで順調に推移してきたASEAN共同体形成による地域統合であるが、近年の経済の減速、地政学的な変化を取り込むことも求められよう。ASEANは東アジア地域包括的経済連携(RCEP)締結などをテコとし、どのような地域統合を指向するのかを研究する。
研究員
  • 春日 尚雄(福井県立大学地域経済研究所教授)
研究課題 メコン地域における越境フラグメンテーション:タイ・プラスワンの適合条件(継続)
研究内容 タイに集中している日系製造業を中心に、主に人件費コストの削減を目的とするタイ・プラスワンが進行しているとされる。周辺国であるカンボジア、ラオス、ミャンマーのCLM諸国への越境フラグメンテーション(工程間分業)である。しかしながらフラグメンテーションが成立する際の要件については整理されておらず、どのような条件下、環境下において進行する現象であるかを研究する。
研究員
  • 春日 尚雄(福井県立大学地域経済研究所教授)
研究課題 ASEANにおける基準認証分野のハーモナイゼーション(新規)
~その可能性と限界および日系企業への影響についての考察~
研究内容 ASEAN経済共同体(AEC)は2015年末までの設立が目標とされていたものの、実際には未達成となっている分野も少なくない。基準認証分野における調和や相互承認協定(MRA)もそのひとつである。特に、アベノミクスの成長戦略との関連からも注目される医療機器のASEANにおけるMRA(AMDD)については、全体の枠組みは出来上がったものの、実際の運用面や各国法制度への反映が十分ではないなど、所期の目的を達成するにはさらに解決すべき問題が山積されている。一方、日系企業からは、その仕組みや活用方法がよく分からないといった声も聞かれる。そこで、今後の日本企業の対ASEAN戦略における重要性に鑑み、医療機器分野などを中心にASEANにおける基準認証分野のハーモナイゼーションの現状と課題について整理する。さらに、その可能性や限界とともに、日系企業への影響についても考察を加える。
研究員
  • 池下 譲治(福井県立大学地域経済研究所教授)
研究課題 多文化・多民族国家における経営戦略のあり方に関する研究(新規)
研究内容 アジアにおける世界の縮図ともいえるマレーシアの経験を通して、日本企業の採るべき国際経営戦略について研究する。特に、ブミプトラ政策にみられる独自のアファーマティブアクションの背景や現状、さらには、ハラル市場など異文化圏(イスラム圏)への参入の可能性についても考察を加える。出口戦略として、まず、マレーシアにおいて、各層毎のほかすべての層に有効なアプローチについても考察する。有効なアプローチが見いだせたならば、第2段階として、他のASEAN諸国や延いてはグローバル市場における有効性についても検証を試みる。その結果を踏まえ、今後、日本企業が採るべき国際経営戦略について提言することを目指す。
研究員
  • 池下 譲治(福井県立大学地域経済研究所教授)
研究課題 サービス貿易・投資の自由化の側面からみたASEAN経済統合の進展(新規)
研究内容 1980年代以降、ASEANの経済統合が深化してきた。ASEAN自由貿易地域(AFTA)の確立やASEAN経済共同体(AEC)の創設に伴い、関税削減が一段と加速した。2017年現在、ASEANの原加盟国においては99%以上の品目で関税が撤廃されており、AFTAの利用率はほぼ毎年、上昇している。
このようにASEANでは財貿易の自由化が進展しているが、その他の分野の自由化も著しく進んでいる。過去にASEAN域内におけるサービス貿易や投資の自由化の水準を示す指数を計測したところ、すべてのASEAN加盟国が自由化を進めており、とりわけ新規加盟国の自由化が顕著に進展していることが判明した。ASEAN域内の自由化水準は急激に上昇し、中国の水準を追い抜き、日本や豪州、ニュージーランドの水準に接近している。ASEANはアジア・オセアニア地域における一大自由貿易・投資地域となりつつあると結論づけられる。
しかしながら、ASEANが今後さらなるサービス貿易や投資の自由地域へと発展するためには、予定スケジュールよりも大幅に遅れている外国資本規制の緩和を進め、サービス分野を細分化し自由化を約束しないサブセクターを追加する「見せかけの自由化」問題を一刻も早く解決しなくてはならない。そのためASEANは、2017年までに外国資本規制の緩和を行うとしている。また、ASEANは現在、サービス貿易協定を策定中であり、新たに法律文書を作成してサービス貿易の自由化に法的拘束力を付与しようとしている。そこで本研究では、ASEAN地域統合を研究する本研究所の春日教授と連携し情報を交換しながら、統計資料の収集、各種データベースへのアクセスを通じて、今後数年でさらなる進展が見込まれるサービス貿易・投資の自由化の進展状況を明らかにする。
研究員
  • 猿渡 剛(福井県立大学地域経済研究所講師)
研究課題 ASEANの電機産業の発展と展望(新規)
研究内容 ASEANの経済統合が深化し、加盟国間の貿易障壁が削減されAFTAの重要性が高まると、各国に進出する日系企業の戦略が変化した。電機産業においては、日系企業はASEAN域内に散在していた最終製品の生産拠点を再編してマレーシアやタイに集約し、AFTAを利用して他国に輸出を行うようになった。そのため、マレーシアやタイにおける生産量と他国への輸出額が増加する一方で他国の生産・輸出は停滞した。
2018年には、ASEAN新規加盟国においても99%以上の品目の関税が撤廃される見込みである。ASEANは巨大市場となり、既に大きく発展を遂げているマレーシアやタイのさらなる生産量と輸出額の増加が期待される。その一方で、域外国からの直接投資がマレーシアやタイではなくASEAN新規加盟国に向かうことも十分に予想される。すでにベトナムに対しては大規模な投資が行われており、一部の電機製品においては生産工程の一部がタイからカンボジアを始めとする新規加盟国に移管されている。ASEANの経済統合がマレーシアやタイにのみ資するか、または他の加盟国を利するか、それとも各国が均等に発展を遂げていくのか、現時点ではまだ判断がつかない。そこで本研究では、ASEAN各国の電機産業の現状と今後の展望を、ASEAN現地でのインタビュー調査や文献・統計資料の収集、各種データベースへのアクセスによって明らかにする。
研究員
  • 猿渡 剛(福井県立大学地域経済研究所講師)

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