学長からのメッセージ

人生100年時代の新しい生き方・学び方を福井で

自ら考え、行動する力を養う それこそが「大きな学び」

 釈迦から正伝の仏法51代の道元禅師は、宋から帰国し京で修行道場を開くも、まもなく都会の喧騒を離れて豊かな自然風土の「越の国・福井の地」に永平寺を開創、若き雲水らの指導をはじめました。
 アメリカの学術交流協定大学フィンドレーの学長らが県大来学の折、鈴木大拙の『禅と日本文化』はすでに学生時代に読んで感動しましたと語られました。
 「人間とコンピュータの関係」について洞察してきた人物として知られるスティーブ・ジョブズも、コンピュータとは対極にあると思われる曹洞宗の鈴木俊隆師に師事されていたと永平寺小林監院にうかがいました。
 IT革命の進行で、いまある職業の過半は消えるだろうと言われるこれから未知の時代を生きる諸君にとって、いったい何を学ぶべきでしょうか。少なくともこれまでの、試験をクリアするためだけの学びからは決別すべきでしょう。
 日本が世界に誇るナチュラリスト南方熊楠は、自然誌ばかりでなく科学者の心の在り様にも重きをおいた人物です。熊楠は「モノとココロが交わりて、コトを生ず」と言い、物心両面のバランスの大切さを語っています。
 学生諸君には、先ず自らがしっかりと自信をもって行動できるようになるために、それぞれの学問独自のディスプリンを学ぶと同時に、幅広くヒト、モノ、コトとの交流をひろげ、多様多彩な体験を重ねてトキに応じて的確に判断し行動できる「大きな学び」をひろげてほしいと願ってやみません。
 福井県立大学の教職員一同は、諸君らの大きな学びを支え応援したいと心から思っています。

福井県立大だからこそ叶う、充実の環境と多彩で濃密な指導体制

 県大が誇る日本一の教育的風土。それは44ヘクタールを超える広大で緑豊かなキャンパス、そして多彩な研究室やゼミからお分かりいただけるはずです。皆さんを待つのは、大学院と経済、生物資源、海洋生物資源、看護福祉の各学部と、全学共通でユニークな学びをサポートする学術教養センター、それに地域の特性を生かし地域活性化に貢献する地域経済研究所、「恐竜王国・福井」を支え世界をリードする恐竜学研究所など「大学院3研究科7専攻、4学部6学科、1センター、2研究所」です。約1800人の学生は、県内外比・男女比が共に半々。
 県大の教育や研究指導は、多才でハイレベルの教授陣をはじめ、世界をリードするオピニオン、経済人、文化人が当たります。その割合は学生10名に対して教員1名。他学では類を見ない濃密さで、皆さんの「学び」を徹底的にサポートします。

学力・体力・幸福度日本一は、歴史文化・技術力世界一「福井」の必然

 地球環境が生物多様性で持続するように、社会の持続性も個性豊かで多様な生き方、自分に適した働き方などlifestyle diversity によって可能になります。それには多彩な経験で得た的確な判断力が不可欠です。福井県土には最高の体験フィールドがあります。自然・歴史・文化・経済・技術からのインスピレーションは、地方にこそ満載です。
 福井県には、壮大な歴史・タイムスケイプが実感できる1億数千万年前の「恐竜」、7万年の「年縞」、1300年の白山平泉寺と780年の大本山永平寺の「精神的風土」があります。ほかにも御食国(みけつくに)若狭小浜の鯖街道や食文化、世界の自動車を支え、国土強靭化技術をリードする高度な繊維産業、ニューファッションの眼鏡産業といった技術文化など…幅広くも奥深い「福井の地域力」に、居住してこそ身につく、豊かな人間性と社会性があるのです。

多彩な体験学習プログラムでホンモノの人間力を育成

 県大は、福井の持続可能性を高めるため「地域連携本部」を中核に広く県民、企業、団体、行政、各方面と協働しています。またキャンパスを「県民のにわ」とし広く開放、県大は学生のみならず「すべての県民の皆さんの生涯学習の場」であることを宣言した「オープン・ユニバーシティ」です。学生諸君にとってキャンパスは豊富な経験をお持ちの地域の方々と生きる知恵の交流の舞台でもあります。経済人レクチャー、公開講座をはじめ、「ワールドカフェ」や「永平寺の坐禅講座」と「新町ハウス」、「海外留学」に参加して、国内外の多様な人々と出会いさらに人生を深めてください。
 本学は総合的な学びを提供して、どんな時代になっても、自信をもって生きてゆけるホンモノの生きる力と人間力を育成したいと考えています。


【プロフィール】

進士五十八学長

学長/農学博士 進士 五十八(しんじ いそや)
京都に生まれ、小学校時代、自然豊かな福井を原風景として美への感性を育み、長じて、ランドスケープ・アーキテクト(造園家)として緑のまちづくり、環境学者として活躍。これまでに、日本学術会議会員(環境学委員長)、日本都市計画学会長、日本造園学会長、日本野外教育学会長、東京農業大学長、環境省ほか自然再生専門家会議委員長、美し国づくり協会理事長、福井県立大学客員教授を歴任し、2016年福井県立大学長に就任。福井県里山里海湖研究所長も兼任。日本農学賞、読売農学賞、日本造園学会賞、同特別賞、同上原敬二賞、日本生活学会今和次郎賞、内閣みどりの学術賞など受賞。Golden Fortune表彰、大日本農会紫白綬有功章、紫綬褒章を受章。
著書に、『緑のまちづくり学』、『アメニティ・デザイン』、『風景デザイン』(学芸出版社)、『グリーン・エコライフ』(小学館)、『日比谷公園』(鹿島出版会)、『日本の庭園』(中公新書)ほか多数。

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