海洋生物資源学部 - 先端増養殖科学科


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いまや養殖は世界の漁業生産量全体の50%を超えるようになり、大企業やベンチャー企業の活発な参入、さらには SDGsへの取り組みなど水産増養殖を取り巻く環境が大きく様変わりしつつあります。先端増養殖科学科は、水産科学、ゲノム科学、環境科学、情報科学など幅広い分野の教員による少人数制での研究指導が行われます。また、設備の整った新しい飼育施設と目の前の若狭湾を実験フィールドにして、増養殖の基礎から応用までの知識と技術をシームレスに学ぶことができます。4年間で先端技術を実践的に活用する能力を身に付け、地域、国内はもとより海外でリーダーシップをもって活躍できる人材を育成します。
 

学科の特長

新しい発想と感性で水産増養殖を科学しよう

先端増養殖科学は、水産科学・ゲノム科学・環境科学・情報科学を基盤にして、 多様な分野にまたがる学際的な分野です。水産増養殖を通して社会に貢献する研究をしてみたい皆さん、 新しい発想と感性で先端増養殖科学を学びませんか。

先端増学科の特長2024
 

学びのポイント

増養殖に関する基礎知識と専門知識

自然科学、数学、経済学などの基礎をしっかりと修得したうえで、増養殖に必要な知識を体系的に学び、思考して実践するための力を身に付けます。

学んだことを実践する能力

知っているだけでは、実際に修得した知識を使うことができません。本学科では、学んだことを養殖の現場で実行する実習に力を入れています。その中で、「なぜ」、「どのように」と思考しながら実践する能力を身に付けます。

課題を設定し論理的に解決する能力

社会的背景を理解して水産増養殖に関わる課題を設定し、解決のための計画を立案して実践します。そして、得られた結果を客観的に考察して合理的な結論をまとめ、 社会実装するための能力を身に付けます。

得られた成果を他者に伝える能力

課題解決に向けて、他者と相互に意思疎通を図りながら行動し、成果をまとめて文章と口頭で論理的にわかりやすく発表する能力を身に付けます。
 

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自然の恵みを利用した養殖に水圏環境学の技術は不可欠です

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宿泊実習で水産増養殖と環境保全のコラボレーションに関して
議論する

 

先端増カリキュラム2024

カリキュラム詳細はこちら

PICK UP CLASS

先端育成科学分野 無給餌養殖学

濵口 昌巳 教授

マガキなどの二枚貝類は、海水中で発生する植物プランクトンなどを餌として利用できるため、環境にやさしい無給餌での養殖が可能です。加えて、マガキなどは天然海域で発生する幼生を採取して養殖することが出来るので、福井県の海洋環境を最大限に活用した地域完結型の生産が可能です。昨夏、小浜湾で採取したマガキ種苗は成長が早く、約7か月で出荷サイズに到達しており、新たなブランド化を目指しています。

無給餌養殖学

先端育成科学分野 魚類種苗生産学

田原 大輔 教授

多くの養殖ではその種苗を天然で捕獲した稚魚に依存していますが、天然資源は不安定かつ減少傾向にあります。そのため、人工的に種苗を生産することができれば、安定かつ周年的に養殖を営むことが可能になります。福井県特産種のアラレガコ(カマキリ)を中心に魚類の効率的な種苗生産技術の開発に取り組んでいます。また、放流に頼らない増殖方法に関する研究も進めていきます。

魚類種苗生産学

先端育成科学分野 養魚育成管理学

富永 修 特命教授

魚類養殖では、飼料代が経費全体の約6割を占めています。そのため、過剰な給餌は、環境汚染を引き起こすだけでなく、飼料経費の増大にもつながります。私たちは、食べ残しの餌の量を継続的にモニタリングすることで、食欲の時間変化を計測する手法の開発に取り組みました。現在、この技術を活用して、低コストで計画的に魚を養成する給餌ナビゲーションシステムの開発を目指しています。

養魚育成管理学

先端育成科学分野 飼料栄養学

佐藤 秀一 教授

現在、世界の水産養殖業は目覚ましい発展を遂げております。今までは、水生動物に魚由来の原料で作った飼料を与えていましたが、水産養殖の発展に伴い原料の供給が難しくなってきました。そこで、魚を使わない飼料、すなわち植物性原料でつくる飼料の開発を行い、ベジタリアン養殖魚の創生を目指しています。

飼料栄養学

ゲノム応用科学分野 魚病学

末武 弘章 教授

養殖業は世界的な成長産業です。同時に、魚病の発生も拡大しています。また、新たな養殖魚種へのニーズも増えていますが、それに伴い新しい病気も現れてきています。病原体と魚介類の両方を理解し、その相互作用として魚病をとらえ、その対策を考えていきます。

魚病学

ゲノム応用科学分野 免疫学

瀧澤 文雄 准教授

養殖魚の感染症対策として免疫系を活性化させるワクチン接種が行われていますが、ワクチンがどのように魚に効いているのか不明な点が多いです。私たちはどうやって魚の免疫細胞がワクチンによって活性化して病原体を撃退しているか調べ、魚の免疫系の特徴を理解することにより、養殖魚を感染症から守ることを目指しています。

免疫学

ゲノム応用科学分野 水産育種学

奥澤 公一 教授

この分野では生物の姿形、色や大きい・小さいなど様々な性質を決定している遺伝情報(ゲノム)を利用して、水産物の育種に関する研究を進めます。人にとって望ましい、成長が良い、病気に強いといった性質を持つ魚介類をどうしたら効率よくつくれるかを考えます。性質を決める遺伝子の研究などにも取り組みます。

水産育種学

ゲノム応用科学分野 生物工学

吉浦 康寿 教授

農作物や家畜では1万年以上の歴史があり、私たちの生活を豊かにする様々な品種があります。一方、魚類養殖はわずか50 年のため、品種改良が遅れています。ゲノム編集などの新しい品種改良技術を魚介類に導入し、育種をスピード化することで安くて美味しい水産物を届けることを目指しています。

生物工学

情報・社会科学分野 生命情報科学

西辻 光希 准教授

「海藻の花」を見たことがありますか?そうなんです、植物ではない海藻では、花が咲きません。人為的な交雑は難しく、海藻の品種改良は極めて困難です。けれども気候変動の影響もあり海藻生産量は世界的に減少していて、新たな品種が求められています。このような問題をゲノムや遺伝子という観点から、次世代シーケンサーを用いた生命情報科学で解決し、新たな海藻品種の作出を目指しています。

生物情報科学

情報・社会科学分野 情報数理工学

八杉 公基 准教授

養殖水槽を泳ぐ魚の成長や健康状態を調べるためには、魚を水から出して計測するのが一般的です。しかしこの方法では、計測をすることで魚が弱ってしまう可能性がありますし、そのためにかかる労力も決して少なくありません。画像処理やAIを利用することで、水槽内を撮影した動画像から魚を検出して、魚の成長の様子や健康状態をモニタリングできる手法の開発に取り組んでいます。

情報数理工学

情報・社会科学分野 水産情報解析学

渡慶次 力 准教授

私たちは、とにかく現場に行き、漁業者等との意見交換を通して水産現場の課題を見つけ、関係者と一緒に取り組みながら、情報科学を駆使して課題を解決していきます。そのため、レーダーで海の流れを計測、ズワイガニ資源量の推定、養殖魚のブランド化など、他大学、国や地方公共団体、民間企業と協働しながら、情報科学を切り口に色々な研究を行っています。

水産情報解析学

情報・社会科学分野 養殖ビジネス学

東村 玲子 准教授

世界各地の水産業の現場を見て歩いています。カナダ、アラスカ州、インドネシア、ミャンマーなどで漁業と水産加工業の調査をしています。写真は、カナダで1週間毎日漁船に乗船させてもらった後で「もう乗組員として合格だな!」と言ってもらった写真です。

養殖ビジネス学
 

研究インタビュー

最新設備の整ったキャンパスで、立場を超えて学びを高め合う

ゲノム応用科学分野 吉浦 康寿 教授

農作物などに比べて品種改良が遅れている魚類養殖。魚類の繁殖、性分化、免疫についての幅広い研究を基礎として、TILLING法(植物で開発された、突然変異を誘発する品種改良技術)やゲノム編集を養殖魚の品種改良に導入し、高成長なトラフグを作り出すことに成功しました。これらの技術を多くの魚介類でも利用できるように、基礎から応用まで広範囲に研究を行っています。新設されたかつみキャンパスは、最新機器を導入した実験室、飼育室等が整備されており、最先端の実験・実習が可能です。また、キャンパスの目の前には有名な釣りスポットがあり、四季を通じて色々な魚が釣れます。授業の合間に海釣りをすることもでき、釣りが好きな人にはたまらない環境です。
日々の学びの中で生まれるたくさんの疑問。それらを解決することは、知的好奇心と探求心を満たし、学びを楽しいものにしてくれるでしょう。私も楽しく教えながら、皆さんと一緒に学び続けたいと思います。

吉浦先生

持続可能な飼育法の確立で、食料不足に立ち向かう

先端育成科学分野  佐藤 秀一 教授

本学科は、水圏生物を生命科学的に研究し、水圏生物と共存しながら適切に利用する方法を教育・研究する学科です。その中で、魚類を持続可能な方法で飼育する方法について研究しています。刺身や寿司のネタになる魚の多くは肉食性で、小さな魚介類を餌としています。自然の魚介類を守るために、魚を使わない、大豆やトウモロコシ、昆虫、微細藻類などを用いた飼料の開発に取り組んでいます。深刻化する人口増加による食料不足に対応する手段として、食料供給の非常に重要な位置を占める研究であると考えています。
海の近くに立地したキャンパスは、実践的な教育・研究にとても適した環境で、勉学に集中できます。教員と密に接することができる少人数制も特長で、最先端の研究を行う教員たちと共に、楽しい研究生活を送ることができるでしょう。皆さんも、水圏生物の生命科学を学び、持続可能な利用について一緒に研究してみませんか。

 
佐藤先生
 

卒業後の進路

水産養殖に関する生産・育成の分野

民間企業、漁業協同組合などの養殖生産業、観賞魚生産、ペット産業

水産物の加工販売や水産ビジネスの分野

食品会社、水産加工会社、流通、商社、水産物販売、観光業、起業

情報・環境・コンサルタントに関連する分野

IT・Web関連、ソフト開発、環境調査会社、環境コンサルティング

水産増養殖に関連する技術開発・研究の分野

水産関連の国・地方・独立行政法人などの公設試験研究機関、民間研究機関、水族館、養殖関連機械・飼料生産メ ーカー

水産分野に関する政策立案・教育指導・国際貢献の分野

国・都道府県・市町村の公務員、教員、国際機関、青年海外協力隊

大学院への進学

就職データ

先端増養殖科学科で取得可能な資格・免許状、資格要件が得られるものはこちら

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教育・学生支援部 教育推進課
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