【先端増養殖科学科】共同研究論文が掲載されました

2023年10月23日 

福井県立大学 海洋生物資源学部の武島 弘彦 客員研究員が参画した国際共同研究グループの共同研究論文が、科学雑誌『Current Biology』オンライン版(10月19日付:日本時間10月20日)に掲載されました。

共同研究の取り纏めをされた理化学研究所様の発表を引用して紹介いたします。

https://www.riken.jp/press/2023/20231020_1/index.html

カマキリを操るハリガネムシ遺伝子の驚くべき由来

-宿主から寄生虫への大規模遺伝子水平伝播の可能性-

理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター 染色体分配研究チームの三品 達平 基礎科学特別研究員(研究当時、現 客員研究員)、京都大学 生態学研究センターの佐藤 拓哉 准教授、国立台湾大学の邱 名鍾 助教、大阪医科薬科大学 医学部の橋口 康之 講師(研究当時)、神戸大学 理学研究科の佐倉 緑 准教授、岡田 龍一 学術研究員、東京農業大学 農学部の佐々木 剛 教授、福井県立大学 海洋生物資源学部の武島 弘彦 客員研究員らの国際共同研究グループは、ハリガネムシのゲノムにカマキリ由来と考えられる大量の遺伝子を発見し、この大規模な遺伝子水平伝播[1]がハリガネムシによるカマキリの行動改変(宿主操作[2])の成立に関与している可能性を示しました。

本研究成果は、寄生生物が系統的に大きく異なる宿主の行動をなぜ操作できるのかという謎を分子レベルで解明することに貢献すると期待されます。

自然界では、寄生生物が自らの利益のために宿主操作を行う例が数多く確認されています。今回、国際共同研究グループは、寄生虫ハリガネムシと、寄生により入水行動をさせられる宿主カマキリの全遺伝子発現(トランスクリプトーム[3])解析を行いました。宿主操作に伴う明瞭なトランスクリプトーム変化はカマキリではなくハリガネムシのみに見られたことから、寄生虫によって生合成された分子が宿主の行動操作に関わっている可能性が示唆されました。さらに、発現量が変化したハリガネムシ遺伝子には、宿主であるカマキリ遺伝子とDNA塩基配列レベルで非常によく似ているものがより多く含まれており、それらの遺伝子の中には、カマキリの行動操作に関係し得る機能を持つものが見いだされました。これらの結果から、ハリガネムシは、宿主であるカマキリから大規模な遺伝子水平伝播を受けることで、宿主操作を成し遂げている可能性が明らかになりました。

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以下本文は添付参照

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