上野広海さん(生物資源学研究科博士前期課程1年)が日本比較免疫学会の「古田トラベルアワード」を受賞し、オランダの国際学会で発表しました!

われわれヒトは、体内にワクチンや病原体などの異物が侵入すると体内のB細胞と呼ばれる免疫細胞が刺激を受け、その異物に対処する抗体を作り出す抗体産生細胞へと変化します。この時、一部のB細胞は異物の情報を記憶し、次に同様の異物が体内に侵入した際に素早く抗体を作り、短期間で異物を処理することができます。この仕組みを獲得免疫と呼び、ワクチン接種も同様のシステムを利用して病気を予防します。魚類にもヒトと同様な免疫系が存在し、B細胞から産生されるIgM抗体が生体防御に重要です。小型魚類のゼブラフィッシュという魚は、魚類の免疫応答を調べる上で優秀なモデル生物として用いられていますがIgMを解析できる手法が限られています。

福井県立大学大学院 生物資源学研究科 海洋生物資源学専攻(博士前期課程1年)の上野広海さんは同研究科の瀧澤文雄准教授の指導の元、ゼブラフィッシュを研究材料として血液中に含まれるIgMとIgM発現細胞の性状解析を行いました。そして、本成果である「抗ゼブラフィッシュIgM重鎖抗体を用いたIgM陽性細胞と血漿IgMの解析」を2023年8月28日~9月1日までオランダで開催された国際比較免疫学会が主催する学術集会の「15th Congress of the International Society for Developmental and Comparative Immunology (ISDCI)」で発表しました。この学術集会は3年に一度開催され、発生免疫学や比較免疫学分野の研究者が集まり、発表や討論を通して国際的な科学的協力とコミュニケーションを促進・維持することを目的としています。

上野さんは、日本比較免疫学会からの「古田トラベルアワード」の支援を受けてISDCIに参加しました。「古田トラベルアワード」は、ISDCIへの参加を補助するために将来国際舞台での活躍が期待される若干名の若手研究者へ与えられるアワードです。

また、同様の発表を2023年9月10~12日に福岡で開催された日本比較免疫学会が主催する日本比較免疫学会第34回学術集会でも行い、「古田トラベルアワード」の受賞式が行われました。この学術集会は、年に一度開催され人間の免疫系も含め、動植物の異物認識から排除に至る生体防御のメカニズムを「比較」という研究手段を通して理解し、生命体の異物排除に関与する免疫現象の特殊性と一般性を明らかにすることを目的としています。

今回の研究成果により魚類のIgM及びIgM発現細胞への知見が深まり、今後魚類のB細胞を介した免疫機能の理解につながることが期待されます。

ポスター発表1 ポスター発表2
ポスター発表時

受賞式
古田トラベルアワード受賞式(九州大学伊都キャンパス)

会場
学会の会場の建物(ワーゲニンゲン大学(オランダ))

会場内
学会の会場

街中の風車
街中の風車

中心街の教会
中心街の教会

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