海洋生物資源学部 先端増養殖科学科 瀧澤准教授、末武教授の研究論文がFrontiers in Immunology誌に掲載(軟骨魚類と古代魚において獲得免疫の鍵となるCD4およびLAG-3遺伝子を発見)

1.研究のポイント(図1)

・軟骨魚類のサメのCD4とLAG-3遺伝子を発見し、それぞれの分子の活性化と抑制化のモチーフを特定しました。

・ポリプテルス、チョウザメ、ガーなどの条鰭類の古代魚において真骨魚類に存在する2種類のCD4(CD4-1、CD4-2)とLAG-3遺伝子を存在することを同定しました。

・ヘルパーT細胞の機能に関わるCD4とLAG-3遺伝子の進化を明らかにし、これら遺伝子の脊椎動物間で保存された特徴や各種動物に固有の特徴を見出しました。

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2.概要

 福井県立大学の瀧澤文雄准教授と末武弘章教授および藤田医科大学総合医科学研究所ヨハネス M. ダイクストラ准教授は、アクアワールド茨城県大洗水族館、ペンシルベニア大学、メリーランド大学との日米共同研究において、軟骨魚類のサメにおけるCD4およびLAG-3遺伝子を同定しました。CD4およびLAG-3分子は獲得免疫の指令役であるヘルパーT細胞の機能に関わっており、この発見により脊椎動物全般においてCD4の細胞質内にCx(C/H)活性化モチーフが存在し、LAG-3の細胞質内には(F/Y)xxL(D/E)からなるITIM様の抑制化モチーフが保存されていることを明らかにしました(図1)。また、条鰭類の真骨魚類(現生魚類の中の多数を占めるグループ)ではLAG-3に加えて2種類のCD4遺伝子(CD4-1、CD4-2)が存在することが知られていましたが、本研究では原始的な条鰭類であり古代魚と呼ばれるポリプテルス類,チョウザメ類,ガー類においてもCD4-1とCD4-2が存在することを見出しました。これらの発見は、獲得免疫の指令役であるヘルパーT細胞の機能に関わるCD4とLAG-3遺伝子の起源とその進化を明らかにし、脊椎動物の進化の過程でCD4とLAG-3分子に保存されている特徴や各種動物に固有の特徴の解明に繋がりました(図2)。本成果はオンライン科学雑誌の「Frontiers in Immunology」に2023年12月21日に掲載されました。また、本成果の詳細はこちらからご覧ください。
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3.論文情報

【研究論文名】  CD4 and LAG-3 from sharks to humans: related molecules with motifs for opposing functions.

【論文著者】 瀧澤 文雄(福井県立大学 海洋生物資源学部 先端増養殖科学科)

                  橋本 敬一郎(藤田医科大学名誉教授)

                 太田 裕子(メリーランド大学)

                 Ana Verissimo(ポルト大学)

                 Martin F. Flajnik(メリーランド大学)

                 David Parra(イプラ)

                 徳永 幸太郎(アクアワールド茨城県大洗水族館)

                 末武 弘章(福井県立大学 海洋生物資源学部 先端増養殖科学科)

                 J. Oriol Sunyer(ペンシルベニア大学)

                 Johannes M. Dijkstra(藤田医科大学 総合医科学研究所)

【掲載雑誌】   Frontiers in Immunology

        Volume 14 - 2023 | https://doi.org/10.3389/fimmu.2023.1267743 

【公開日】      2023年12月21日(木曜日)

【備考】      当該研究は日本学術振興会科学研究費助成事業 研究課題20KK0144、22H02437、23H02312の支援のもと行われたものです。

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