海洋生物資源学科1年生(現2年生)が実習で単離した新規海洋細菌の全ゲノム配列を解読し、その結果が国際学術誌に掲載されました

研究成果のポイント

福井県立大学海洋生物資源学部海洋生物資源学科では、1年次生に導入教育として「海洋生物資源学フィールド演習Ⅰ」を実施しています。この演習の中で、小浜湾から新規の海洋細菌を単離し、その全ゲノム配列を決定しました。1年次生(現2年次生)が執筆した研究論文が米国微生物学会の国際学術誌「Microbiology Resource Announcements」に掲載されることとなり、オンライン公開されました。
 

国際学術誌掲載までの経緯等

海洋生物資源学科1年次生を対象とした「海洋生物資源学フィールド演習Ⅰ」では、環境微生物や海洋環境、水産食品、水生生物などの6つの研究テーマで課題研究を実施しています。環境微生物の分野では「水圏環境から新種の原核生物(細菌、古細菌)を単離し、その遺伝子や生理学的特徴を明らかにして、最終的には新種の登録を目指す」ことを目的として研究を実施しました。今回、西津漁港から単離した新種と考えられる海洋細菌の全ゲノム配列を決定し、その研究論文が米国微生物学会の国際学術誌「Microbiology Resource Announcements」に掲載されることとなり、オンライン公開されました。

西津漁港から単離されFRT2株と名付けた細菌株は、細菌の分類指標の一つである16S rRNA遺伝子配列を分析したところ、Leeuwenhoekiella属の細菌でしたが、既存の細菌種とは類似度が低く新種の可能性が高いことがわかりました。全ゲノム配列は、分類学的位置を明らかにするための必須の情報となります。FRT2株の環状ゲノム配列(*1)の長さは3.81 Mbp(*2)であり、3,269個のタンパク質をコードする遺伝子を有していると推定されました。

海水採取
海水採取の様子

単離
単離・分析等研究室での様子
 

今後の展開

FRT2株のゲノムを近縁の細菌種と比較したところ、何れも新種であることが示唆されました。この株の培養温度・塩分や各種酵素活性などを調べて、新種登録(*3)を予定しています。


謝辞

本研究では、9人の1年次生のグループで実施しました。論文の執筆は2人の学生が担当しましたが、残りの7人の学生の協力のもとで得られた成果で、実習に参加したすべての学生に感謝します。
 

用語解説

  • 1 ゲノム配列は国際塩基配列データベースに登録・公開され、アクセッション番号AP029251で入手可能。
  • 2 Mbpは100万塩基配列を表す。
  • 3 新種を登録する(種名を付ける)ためには、細菌の形態学的特徴、生理・生化学的特徴、全ゲノム配列の決定などに加えて細菌株を異なる2つの国の2つの微生物保存機関に寄託し、新種登録の公的雑誌International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiologyに掲載される必要があります。
 

掲載論文

【題 名】 Whole-genome sequence of a marine bacterial strain, FRT2, belonging to the genus Leeuwenhoekiella, isolated from the seawater of the Obama Bay in Fukui, Japan (小浜湾から単離したLeeuwenhoekiella属の海洋細菌FRT2株の全ゲノム配列)

【著者名】  Machii Y, Tsukamoto M, Kataoka T, Kondo R

【掲載誌】 Microbiology Resource Announcements(ホームページ掲載済)

      URL: https://journals.asm.org/doi/10.1128/mra.00277-24

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