洪水と干ばつ、まったく正反対の自然災害に対抗できる遺伝子を大豆で発見しました

2021年5月14日 

 生物資源学科の深尾武司准教授がリーダーを務める国際研究チーム(福井県立大学、米国イリノイ大学、同バージニア工科大学、同ピッツバーグ大学)が、洪水と干ばつというまったく正反対の自然災害に対抗できる遺伝子を大豆で発見しました。

 洪水と干ばつは、世界の農業生産に甚大な被害を与える二大自然災害です。水の量という面では、洪水と干ばつは正反対の自然災害ですが、どちらの災害も発生しているという農業地帯は世界中で数多くあります。気候変動が現実化している昨今、これら両方の自然災害に対応できる作物の開発は、食料の安定供給を実現化する上での喫緊の課題です。
 これまでも、洪水や干ばつに順応できる作物は開発されてきましたが、どちらかひとつの災害のみに特化したものばかりでした。今回、深尾准教授が率いる国際研究チームは、最新のDNA配列解読装置とビッグデータ解析技術を用いて、洪水と干ばつの両方に対処できる遺伝子を大豆で発見しました。

 大豆が洪水や干ばつに晒されると、成長に使われているエネルギーの大部分をストレス順応のために振り向けることが知られていますが、今回発見された遺伝子は、このエネルギー配分の調整に関与していることがわかりました。この発見により、世界の大豆生産に深刻な被害を与えている「洪水と干ばつ」の両方に対処できる新品種を開発することが可能となります。また、今回の研究成果を大豆以外の作物へ応用することも期待できます。

 本研究の成果は、4月17日にイギリスの主要植物科学誌「The Plant Journal」に掲載されました。また、5月4日の「日刊県民福井」と「中日新聞」、5月14日の「福井新聞」で紹介されました。

 

洪水と干ばつ
洪水と干ばつは、世界の農業生産に甚大な被害を与える二大自然災害であり、
気候変動によりこれらの災害による農業被害が年々増加しています。

 

深尾准教授
深尾武司准教授(生物資源学科)

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