地球温暖化がコケに与える影響を明らかにしました

2022年5月11日 

 本学学術教養センター大石善隆教授を含む研究チーム(福井県立大学、信州大学、東京大学、筑波大学)は、温暖化がコケに与える影響を研究しており、信州大学の西駒演習林(長野県伊那市) で、人為的に気温を上昇させる実験を行い、地球温暖化によって、山岳のコケが減少する恐れがあることを明らかにしました。

 低地では目立たないコケも、山岳では地面を広く覆い、水や栄養分の循環に大きな役割を果たしています。しかし、コケはその単純な体のつくりから環境の変化に敏感で、温暖化などによって大きな影響を受ける恐れがあるとされています。

 本研究の成果は、Springer社が発行する国際誌「Alpine Botany」に掲載されました。
 

〇成果のポイント

・信州大学の西駒演習林において、人工的に気温を上昇させる天井開放型の温室(次ページ参照)を設置し、温暖化がコケにどのような影響を与えるか研究した。

・実験は地球温暖化の影響を受けやすい、森林限界(亜高山帯から高山帯に移行するところで、亜高山帯に生育するコケと高山帯に生育する2種類のコケが分布)で行った。

・6年に及ぶ実験の結果、温暖化が進むと亜高山帯に分布するコケが増加し、その一方、高山帯に分布するコケは大きく減少することが明らかになった。

・温暖化により山岳のコケの組成が変化することが、コケの役割である水や栄養分の循環に大きく関わり、コケの変化が森林全体の機能に影響を及ぼす可能性があることが判明した。

・今回の研究成果は、【小さなコケから温暖化が森林全体に与える影響を考える】、大きな一歩になることが期待される。


西駒演習林林床

西駒演習林のコケ

西駒演習林実験の様子

天井開放型の温室での実験の様子

調査地付近の風景
調査地付近の風景

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