「ゼニゴケ」が精子の機能や鞭毛運動研究の推進に貢献  植物の精子の運動性に「cAMP シグナル伝達系」が鍵となることが明らかに

2024年4月15日 

立命館大学生命科学部の笠原賢洋教授、山本千愛元初任助教(現・筑波大学下田臨海実験センター 研究員)、高橋文雄元講師(現・東邦大学薬学部講師)らの研究グループは、東京大学大学院総合文化研究科の末次憲之准教授、福井県立大学海洋生物資源学部の山田和正助教、吉川伸哉教授、京都大学大学院生命科学研究科の河内孝之教授らと共同で、コケ植物ゼニゴケにおいて cAMP シグナル伝達系が精子の運動性に重要な役割をもつことを明らかにしました。本研究成果は、米国の国際学雑誌 「Proceedings of the National Academy of Sciences」に掲載されました。

本件のポイント

■ 基部陸上植物ゼニゴケにおいて cAMP シグナル伝達系が精子の運動調節に関与することを発見

■ 細胞内シグナル伝達物質 cAMP の植物における機能解明へ貢献

■ 精子の機能および鞭毛運動研究のモデル生物としてのゼニゴケの有用性を実証

<研究成果の概要>
細胞は環境刺激や他の細胞からの信号を受け、特定の細胞内シグナル伝達物質を利用して細胞内にこれらを伝えます。動物やバクテリアなど幅広い生物において、サイクリック AMP(cAMP)は細胞内シ グナル伝達物質としてはたらくことが知られていますが、植物におけるその役割は不明瞭でした。本研究 では、コケ植物ゼニゴケの精子の運動において、cAMP を合成および分解する酵素(CAPE)と cAMP依存性タンパク質リン酸化酵素(PKA)が重要な役割を果たすことを明らかにしました。また、本研究によりゼニゴケが精子の機能や鞭毛運動研究のためのよいモデル生物となることが示されました。

<論文情報>
論文名 : The cAMP signaling module regulates sperm motility in the liverwort Marchantia polymorpha
著者  : 山本千愛 1、高橋文雄 1、末次憲之 2、山田和正 3、吉川伸哉 3、河内孝之 4、笠原賢洋 1
     1 立命館大学生命科学部、2 東京大学大学院総合文化研究科、3 福井県立大学海洋生物 資源学部、
     4 京都大学大学院生命科学研究科
発表雑誌 : Proceedings of the National Academy of Sciences
掲載日 : 2024 年 4 月 9 日(火曜日) 00:00(米国時間)
D O I : 10.1073/pnas.2322211121
U R L : https://doi.org/10.1073/pnas.2322211121

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