日本税理士会連合会の寄附講座に思う

福井県立大学地域経済研究所兼担教員・経済学部 准教授 木下和久

 福井県立大学は、その前身である福井県農業技術員養成課程からは1920年以
来103年、経済学部の前身である福井県立短期大学経営学科からは1975年以来
48年、そして福井県立大学開学からは1992年以来31年の歴史があり、多くの卒
業生が様々な分野で活躍している。県内企業へ調査に伺うと県大経済学部の卒
業生を紹介していただくことも多々あり、とても心強くまた活躍している姿を
嬉しく思う。

 そんな先輩達を含む現場の声を学生に直接届けようと、経済学部では様々な
機会を学生に提供している。今年度の後期には、日本税理士会連合会による寄
附講座「実務から学ぶ会計と税務~税理士による租税講座」が開講されている。
この講義では、実際に税理士として活躍されている方々を講師に迎え、実務家
の立場から、税理士の仕事や会計・税務について講義を行っていただいている。

 講義の内容は、税理士制度と各種税務の解説(消費税、相続税、所得税、法
人税)であり、実務に即したより実践的な学習となっている。また、社会で活
躍する税理士が直接学生に声を届けることで、税理士という専門職や、その社
会における役割・実際に行っている仕事、その魅力を伝え、税務制度ひいては
社会について理解を深めることも目的としている。

 講義では、福井県立大学で一番大きな講義室いっぱいの学生が、真剣に話を
聞いている。講師の税理士の方には思いや自身の経験・人生を、毎回熱く語っ
ていただいている。今回の租税講義は憲法から始まった。税が国民主権、自由
主義・民主主義国家を支える根幹であること、公平性の話、そして具体的な税
の話へと展開されていった。「取られる」だけの存在だった税に対する認識を
学生は大きく変えている。身近な消費税の話はもちろん、家族の相続にまつわ
る実体験やアルバイト代の源泉徴収、バイトで発行する領収書など、学生はこ
れまでの人生の「謎」について理解し、新たな疑問に気づき、毎回多くのこと
を学んでいる。とても充実した講義である。

 講師の税理士の方には、短大や大学院を含め福井県立大学の卒業生も多く、
現役の税理士(先輩)から現役学生(後輩)に対して、税理士を目指すアドバ
イスや、税理士への誘いが、毎回熱く語られている。学生の多くはサラリーマ
ンとして企業に就職する者が多いが、中には起業を考えている者、税理士を志
している者(税理士をめざすことを決めた学生も)いる。この講義をしっかり
聞いた学生は、税理士・税務を身近な存在として理解を深めるとともに、将来
社会で活躍し、また社会に貢献できる人財となるだろう。

 さて、学生にはこれから確定申告を行うという課題が課されることになる。
一般社会人としては必須の素養であるが、ほとんどの学生にとっては初めての
経験であろう。非常に楽しみである。今回は提供中の寄附講座の様子をお伝え
させていただいた。これ以外にも経済学部では学生の学びのため福井の様々な
企業にご協力いただいている。最後になりましたが、厚く御礼申し上げます。

<講義の様子>

  https://www.fpu.ac.jp/news/d000000zzzzzzp.html
  https://x.com/fpu_economics/status/1728984490624610595

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