福井の女性は働き者なの?
中里 弘穂
福井県の女性は働き者であるという。先日もTVのニュースで東京の大学生が福井県の女性就業について県の女性活躍推進課に訪問調査をしている様子が流れていた。
「男女雇用機会均等法」や「育児・介護休業法」の制定から30年余りを経て女性の就業は進んできている。しかしながら日本の女性の就業は年代別に集計するとM型と言われるように出産・育児期に離職する割合が高い。総務省によれば出産・育児で離職する女性は過去5年で約100万人に上り、働いていないが就業を希望する女性は2017年に262万人いるとのことだ。
福井県の場合はどうか。2015年の「国勢調査」によれば福井県女性の就業率は52.6%と全国1位である。全国の女性の就業率が48.3%であるから、4.3ポイント高いことになる。女性就業率が高い地域は石川県(全国2位)東京都(同3位)であり長野県、鳥取県と続く。低い地域は奈良県(同47位)山口県(同46位)兵庫県(同45位)となる。福井県の場合出産・育児期に離職する割合が全国よりは少なく、M型の底が浅いという特徴を持つ。
福井県の女性就業率が高いことの要因として、共働き世帯が多いことが挙げられる。福井県の共働き率は60.0%(2017年「就業構造基本調査」)で全国1位であり、全国に比べ約15ポイント高い。共働き率が高い地域は山形県(全国2位)富山県(同3位)であり、低い地域は東京都(同47位)大阪府(同46位)神奈川県(同45位)となる。東京都の就業率が高いのは未婚率が高いことが要因と考えられ、共働き率は地方で高く都市部で低いという特徴が見られる。福井県は3世代同居率も全国2位と高く、東京都、神奈川県は核家族率が高い。最近の若い夫婦は近居という形で親からの支援を受ける場合も多いようだ。女性の就業には通勤環境も大きくかかわる。2台以上の自動車保有率は長野県が全国1位、富山県が2位、福井県が3位と女性就業率が高い地域の自動車保有が多い。
女性の就業においては非正規雇用比率が高いという問題も指摘されている。出産・育児で離職後に再就職をする場合、契約社員やパート・アルバイトの雇用になる場合が多いという。
福井県の女性の正規雇用者比率は53.9%(2015年)であり全国2位となる。全国は45.5%であるから8.4ポイント高い。正規雇用率が高い地域は山形県(全国1位)富山県(同3位)とこちらも地方が高い。ただし福井県男性の正規雇用率は84.3%であるから女性の正規雇用率はまだ低いと言わざるを得ない。この処遇の差は給与の格差にも表れており福井県男性の所定内給与の平均は298.1千円に対し女性は223.0千円と75.1千円少ない。
女性の就業に関する福井県の指標は、全国的に上位になるものが多い。待機児童もほぼいないと発表されており、働きやすい環境が整っているように思える。では就業の質的面はどうか。女性の能力を活用できているのであろうか。女性の管理職への登用という面で見ると管理職に占める女性の割合は9.7%であり全国42位と残念な結果になる(2012年「就業構造基本調査」)。県民意識調査によれば「責任が重くなる」「仕事と家庭の両立が困難になる」という理由で管理職への昇進を望まない女性が多いという結果が出ている。従来の管理職の「定時で帰れない」「休みが取れない」というイメージであれば女性は昇進を望まないであろう。仕事と家庭を両立できる新しい管理職のイメージが広まったとき、よりやりがいのある仕事を求める女性が増加することを望みたい。
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