新しい決済方式
江川 誠一
新しいものが好きで、社会の変革を予感させるような新技術には特に目がない。飛びついた製品やサービスが残念だったり、すぐに陳腐化したりすることも少なくないが、それでもこの性分は止められない。
FeliCaベースの決済方式は、Edyに始まりQUICPay、Suica、nanaco、WAONなど、ありとあらゆるものを使い倒してきた。スマホ1台でレジや改札を通るスマートさは、後戻りできない便利さである。iPhoneにチップが搭載され、県内の北陸本線にもICカード改札機が導入されたいま、モバイルSuicaを使わない理由が私にはわからない。
そこに、バーコードやQRコードをベースとする新しい決済方式が我が国でも開始され、利用が広がりつつある。
そして2018年12月、後発のPayPayが20%のポイント還元(実質約17%値引き)という桁違いのスケールのキャンペーンを打ち、一気にシェアトップに躍り出た。今回、私が飛びついたのはこれである。
スマホにアプリをダウンロードし、クレジットカード等を紐付ける。簡単すぎて怖いくらいである。
決済時のアプリ立ち上げと、読み取り等で店員と呼吸を合わせる必要があることが、FeliCaと比べて余計で面倒だと感じた。使える店舗等がまだ限られていることもあり、キャンペーン終了とともに私は使わなくなった。
当初、不正利用による被害が生じたようで、そこには脆弱なセキュリティの存在が指摘されている。後に改善されたが、クレジットカード情報をもつ悪意ある犯罪者の安全な現金化プラットフォームになりかねないものであった。
この新しい決済方式を使ってみて、FeliCaの凄さ(消費者が便利、高安定性)が改めて浮き彫りになったが、逆にここまで精緻な仕組みを構築しなくても、実用に耐えうることを実感した。
それ故に手軽に店舗が導入可能(初期導入費用&決済手数料&送金手数料0円、最短翌日入金)なのであるが、キャッシュレス決済比率が低くキャッシュレステクノロジーがガラパゴス化したこの国で、バーコードやQRコードをベースとする決済方式がどこまで普及するのだろうか。
インバウンド狙いの小さい新しいお店において、クレジットカード決済やFeliCaを導入せず、バーコード決済のみという流れが主流になるかどうか。
個人間送金の便利さに多くの消費者が気づくかどうか。
その動向に興味は尽きない(自分でこの新しい決済方式を利用する興味は既に薄れた)。
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