食資源利用学研究室

教育紹介

1.卒業論文に着手するまでに履修すべき重要な科目

水産物の利用・加工分野の研究に取り組むために、生体(食品)成分の特性や食品加工についての基礎的な知識を身につけることが必要です。本学のカリキュラムでは、とくに以下の専門科目(必修および選択)の内容を十分理解するようにしてください。

卒業論文に着手するまでに履修すべき重要な科目

食品衛生監視員、食品衛生管理者および食品衛生責任者の有資格者となるためには、上記の科目以外に水産資源学、漁業学、海洋動物培養学、藻類生理学、海洋生物学、水域環境学の単位取得が必要です。

2.卒業論文の作成を通じて学ぶこと

問題の発見からその解決に至る過程での論理的思考能力を養う

その研究課題を取り上げる意義をよく理解するとともに、先入観にとらわれず、一つ一つの実験事実から結論を導く思考方法を養います。答えは教科書や参考書には書いてありません。

そのために必要なコミニュケーション能力を身につける

これまでに何がわかっているのか、関連する文献をよく読み整理することが必要です。また、研究を進展させるためには、指導教員との討論が不可欠です。これらを通じて、要求されていることを聞き取る能力と自分の意見をまとめて述べる能力が身につくことでしょう。

現象の定量的および速度論的解析の基礎を身につける

研究成果を技術原理に結びつけるためには、現象の定量的解析とともに、それらを時間の関数としてダイナミックに解析することが重要です。そこで、当研究室では、タンパク質やエキス成分などの食品成分の変化を定量的にかつ速度論的に解析することを重視しています。これらは品質の予測と制御につながることから食品産業における技術者として成長するために不可欠の能力となるでしょう。

論文の作成および口頭発表を通じてプレゼンテーション能力を高める

研究や調査の結果をレポートにまとめたり、口頭でプレゼンテーションして報告することは、技術系の社会では当然の能力として要求されます。論文を一定の様式に従ってまとめあげること、そしてその内容を限られた時間の中で口頭で発表することに全力で取り組んでこそ、そうしたプレゼンテーション能力を磨くことができるでしょう。

3.最近の修士論文・卒業論文の題目

平成25年度

修士論文
廣瀬 亮介 : バナメイエビ筋肉中のアデニル酸とイノシン酸の蓄積に寄与する酵素の特性
奈須 亮耶 : 小鯛のささ漬けの製造工程における塩漬の意義とその最適化―タンパク質化学的視点からの考察― 卒業論文
宮下 めぐみ : マサバへしこの製造工程におけるペプチドの生成と血圧上昇抑制効果の発現
水野 麻里奈 : 胆汁酸の脂質移相作用に及ぼすマサバへしこエキスの影響
小林 清勝 : 地元消費される若狭湾産魚類の鮮度に関する調査-K値を指標として-
幸谷 剣志 : 調製法の異なるコイ筋原繊維タンパク質に及ぼす加圧脱水処理の作用
小野 史恵 : 微生物由来トランスグルタミナーゼによるコイ筋原繊維タンパク質中のミオシンの架橋形成に及ぼすNaCl濃度の影響
山田 昇平 : 輸入冷凍タイセイヨウサバの品質と筋原繊維タンパク質の性状
山本 達郎 : 魚肉の乾燥にともなう筋原繊維タンパク質の変性に及ぼす乾燥温度の影響

平成26年度

修士論文
中路 航 : 輸入冷凍ムキエビの品質劣化の原因を探る―ムキエビ筋肉組織の吸水とエキス成分の量的変化―
鉢呂 佐和子 : 冷凍貯蔵下で進行するスケトウダラ冷凍すり身中のピロリン酸塩の分解 卒業論文
種子 佳峰 : クローンライブラリー法によるマサバへしこの細菌叢解析の試み
澤崎 俊太朗 : 塩蔵に伴うマサバ魚肉の高血圧抑制作用の発現に及ぼす塩蔵温度の影響
齊藤 学志 : 魚肉中のイノシン酸分解酵素活性のpH依存性
鈴木 美帆 : スケトウダラ冷凍すり身の等級とミオシンの性状との関係について
安信 汰一 : 塩漬に伴う魚肉中の筋原繊維タンパク質の性状変化に見られる魚種特異性
平松 弦 : 冷凍貯蔵した魚肉中の筋原繊維タンパク質に対する食塩の作用
竹田 祐也 : 魚肉の乾燥の進行と筋原繊維タンパク質の変化に及ぼす乾燥温度の影響

平成27年度

修士論文
小野 史恵 : 微生物由来トランスグルタミナーゼと魚類筋原繊維タンパク質との反応性と加熱ゲル物性の改良効果
幸谷 剣志 : スケトウダラ洗浄肉の圧搾と混合が筋原繊維タンパク質のNaCl溶解性に及ぼす影響
山田 昇平 : 冷凍タイセイヨウサバの品質に及ぼす流通中の温度変動の影響 卒業論文
鬼塚 友希 : サバへしこ細菌叢の再評価
今井 光太郎 : ラウンド状態で冷海水貯蔵したスケトウダラ魚肉中の各種イオン成分の変化
三枝 史章 : 魚肉の凍結-解凍によるNaClの浸透特性の変化
平田 三春 : 若狭かれいの呈味に及ぼす乾燥温度の影響
和田 尚樹 : 魚体温の変動が魚類の氷蔵中に起こるK値の変化に及ぼす影響

平成28年度

修士論文
竹田 祐也 : 塩漬魚肉の乾燥に伴う筋原繊維タンパク質の変性と保水性の変化に及ぼす乾燥温度と食塩含量の影響 卒業論文
吉岡 勇司 : 食塩溶解性を保持したスケトウダラすり身中の筋原繊維タンパク質の冷凍貯蔵性
澤田 篤 : 裏ごし処理によって引き起こされる筋原繊維タンパク質の性状変化
笹川 裕貴 : 微生物由来のトランスグルタミナーゼによるスケトウダラ筋原繊維タンパク質中のミオシン重鎖の架橋形成特性
池戸 義治 : 微生物由来トランスグルタミナーゼによるスケトウダラ加熱ゲル物性改良効果に及ぼすタンパク質濃度の影響
羽田 凌大 : サバへしこ細菌叢の変遷とその制御
小森 藍 : サバへしこの発酵・熟成に伴う呈味特性の変化
宮田 舞子 : 低塩分の米糠に再仕込みしたへしこの脱塩化に伴う水分活性の変化とその制御
石上 駿介 : マサバなれずしの製造工程における高血圧抑制作用の発現

4.卒業生の進路

卒業生の多くが食品関連産業における研究開発、製造あるいは営業職として活躍しています。

食品製造業
水産加工、畜産加工、製菓・製パン、冷凍食品、乾燥食品、調味エキス、油脂、添加物など

食品流通業
漁連、卸売、小売(スーパーマーケットなど)

その他
高校教員、医薬品(MR) 、医療機器販売

食品産業界で要求される知識や能力も高度化する傾向にあるので、大学院に進学し生物資源に関する理解を深めることや問題発見・解決能力を高めることがますます必要になっています。

高速液体クロマト グラフィーによる 高血圧抑制成分 (ペプチド)の分離
高速液体クロマト グラフィーによる 高血圧抑制成分 (ペプチド)の分離

高血圧自然発症ラットに対するペプチドの投与実験
高血圧自然発症ラットに対するペプチドの投与実験

マサバなれずしの漬け込み
マサバなれずしの漬け込み

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