県内のカーボンニュートラル達成に向けた共同研究―福井県立大学と福井市自然史博物館とのコラボレーションで実現―

 世界規模の温暖化が進行するなか、その原因となっている二酸化炭素の収支をゼロにする「カーボンニュートラル」の達成が喫緊の課題となっています。カーボンニュートラルの達成には、二酸化炭素の排出量を制限することも大切ですが、自然環境による炭素の吸収量を増やすことも重要です。このたび、福井県立大学は、福井市自然史博物館と協力して、炭素の土壌への閉じ込めに関する共同研究を開始しました。

 土壌には、炭素を閉じ込める効果があり、深さ2mまでの土壌には、大気の3倍、生きた植物の4倍の炭素が蓄積されています。興味深いことに、ミミズやヤスデなどの土壌生物が活発に活動する土壌では、炭素の閉じ込め効果が高くなることが知られています。しかし、これまで人間が実施してきた土壌の管理方法は、ミミズやヤスデの生息に適しておらず、土壌の炭素閉じ込め効果を最大限に利用してきたとは言えません。

 今回の共同研究では、福井県内の森林や草原において、土壌生物の数や多様性と、土壌の炭素閉じ込め効果との関係を調査します。また、それぞれの地点での土壌管理法についても調査を実施します。ミミズやヤスデの生息に適した森林や草原の管理法がわかれば、それを広範囲で実行することにより、土壌による炭素の閉じ込め効果を高め、カーボンニュートラル達成に寄与できるのではと考えています。

 5月11日に足羽山にて土壌生物の実地調査を実施し、その様子が、5月12日発行の福井新聞および中日新聞に掲載されました。当日は、福井県大学生物資源学科の学生や福井市県立博物館のボランティア(小中学生を含む)ら20名が参加し、角田智詞准教授の指導のもと、足羽山の調査区から土壌を採取して、その中に生息する土壌動物を取り出す作業を実施しました。

写真1
角田准教授によるプロジェクトの説明 

写真2
角田准教授と小石川さん(生物資源学科3年)による土壌採取の様子 

写真3
持ち帰った土壌から土壌生物を採集している様子
小中学生のボランティアも参加して作業を実施しました。

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