「農業分野の知的財産権」として特別セミナーを実施しました。

7月11日(金曜日)、福井県立大学あわらキャンパスにおいて、農林水産省 輸出・国際局 知財財産課から岸彩子様を講師としてお招きし、「農業分野の知的財産権」をテーマとする特別セミナーを開催しました。

本セミナーは、生物資源学部の木元久教授の授業の一環として学生や一般の方を対象に、近年グローバル化や模倣品の流通が進む中で、農産物や地域ブランドをどのように守り、活かしていくかを具体的な事例を交えて実践的に学ぶことを目的に実施しました。
  

セミナーではまず、シャインマスカットをはじめとする日本産の優良品種が海外へ無断で流出している現状について解説がありました。たとえば、シャインマスカットにおいては、正規のライセンス契約が締結されていれば、本来得られたはずのロイヤルティ収入は年間100億円以上と試算されており、こうした知的財産の流出が日本国内の農業経済に深刻な影響を与えていることが紹介されました。また、日本の知的財産が海外に流出することが巡り巡って、日本国内の農家の経営にも影響が及んでいる実態に、学生たちも大きな関心を示していました。

また、特許、商標、営業秘密、品種登録など、農業分野で活用可能な知的財産制度の種類や適用範囲についても詳しく解説がありました。特に、技術やノウハウを守るための制度設計や、法的保護を得るために必要な手続き・要件については、農業を学ぶ学生にとって実践的な学びとなりました。

後半では、ワークショップ形式によるグループディスカッションも実施されました。学生たちは「福井県立大学が新しいブドウ品種を開発した」という仮定のもと、商品名のネーミングや商標登録、販路開拓、さらには偽物対策などのブランディング戦略をチームで検討しました。知識を使って自分たちで戦略を考えることで、知的財産の重要性をより身近に感じる機会となりました。

木元先生1   

 
木元先生3

このセミナーを通じて、農業においても技術やブランドを守りながら活用する視点が極めて重要であることや、今後、農業や地域産業に関わる人々にとって、知的財産に対する理解と活用力が不可欠であることを実感する貴重な機会となりました。

福井県立大学では、今後も実社会で必要とされる知識や視点を身につけられる実践的セミナーを展開してまいります。

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