日本初となるハイブリッド小麦の開発に成功しました

 本学では地域連携本部を中心に、企業・団体・行政や県民など、地域の様々な方面と連携した取組みを進めています。


 本学生物資源学部の 村井 耕二 教授は、日本初となるハイブリッド小麦の開発に成功し、10月1日(火曜日)、永平寺キャンパスの地域経済研究所において、 その研究成果について記者発表を行いました。


 ハイブリッド小麦は、2つの異なる品種を掛け合わせてできる小麦です。小麦は自分の花粉が自分の雌しべについて種子をつくる「自殖性植物」ですが、2つの異なる品種を掛け合わせることで収量が多くなり、乾燥などの環境ストレスにも強くなるなど、元の品種よりも優れる「雑種強勢」という現象が起こることが知られていました。一方で、自殖性植物である小麦を
自然環境下でハイブリッド小麦にするには、自分の花粉で受粉しないように(花粉を作れないように)して、別品種の花粉
を風で受粉させる必要がありました。


 今回の村井教授の研究では、母親となる(花粉を受粉する)小麦として、日照時間が15時間以上の環境で、雄しべができなくなる小麦を選抜。日本で春から夏にかけこの条件を満たす北海道で、父親側(花粉を飛ばす側)の小麦を周りに植えて
栽培することで、雄しべができない母親側の小麦を父親側の花粉で受粉させるという世界的にもユニークな手法を用い、ハイ
ブリッド小麦の種子を得ることに成功しました。この種子は本州で秋に種をまく「秋まき栽培」においては、日照時間が短く
自殖するため、ハイブリッド小麦として栽培することができます。


 また、このハイブリッド小麦は、同じく村井教授が開発した福井県で栽培可能な小麦「ふくこむぎ」同様に収穫時期が早く、収量も同品種よりも20%以上多収であることが分かっています。


 今回の発表で村井教授は、「小麦の食糧自給率の向上と、福井県での地産地消につながれば」と、今後の展開に期待を寄せていました。


 今後は環境ストレスへの耐性や製粉後の加工性について詳しく研究していくとともに、種子生産体制をどのように確立していくか等について検討を進める予定です。


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 ※ 今回の研究成果は、昨年日本育種学会の講演会で発表し、今年7月に国際ジャーナル誌に論文が掲載されたことを契機に
   発表したものです。

 ※ 研究における連携先
    ホクレン長沼研究農場/北海道北見農業試験場/農研機構西日本農業研究センター/スロベニア農業研究所
 

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