海藻「アカモク」の生活習慣病予防効果を初めて検証しました

 生物資源学部の 村上 茂 教授は、海藻に含まれる機能性成分の分析とそれらを活用した商品開発等の実用化に向けた研究を進めていますが、このたび、海藻の一種「アカモク」について、マウスに与えることで抗肥満・抗糖尿病作用が得られることを初めて明らかにし、1月10日(金曜日)、永平寺キャンパスで記者発表会を開催しました。


 アカモクは福井県をはじめとする日本各地の海岸に生息するホンダワラ科の褐藻類で、東北地方など一部地域で郷土食材として食されてきた一方、漁業者にとっては漁の妨げになるものとして忌避され、多くは廃棄されています。最近は健康志向の高まりもあり、海藻の健康効果も注目されており、アカモクにも免疫増強作用等が報告されている「フコイダン」や抗肥満作用が報告されている「フコキサンチン」などが含まれていることが知られていましたが、実際にアカモクを食べることでそれらの効果が得られるかどうかについては検証されていませんでした。


 今回、村上教授と県食品加工研究所の森山主任研究員、石川県立大学生物資源工学研究所の松崎助教による研究チームは、高脂肪食・高脂肪食にアカモクの粉末をまぜたもの・正常食の3パターンの餌を用意し、マウスに摂取させることで得られる効果について検証したところ、高脂肪食のみ食べ続けたマウスが正常食を食べたマウスに比べ体重が2割増加し、内臓脂肪も顕著に増加した一方で、アカモクを6%混ぜた餌を食べたマウスは、正常食を食べたマウスとほぼ同等の体重で、内臓脂肪についても正常食のマウスと大きな差は見られませんでした。また、食後の血糖値上昇を抑える効果も得られ、アカモクに豊富に含まれるフコイダン等の多糖類が、脂肪や糖の吸収自体を抑えることでこれらの効果が得られることが分かりました。


 研究成果について村上教授は「今後ヒトでも同様の効果が得られるかどうか研究を続け、福井オリジナルの商品や郷土料理を開発していきたい」と意気込みを語り、新たな展開に期待を寄せていました。今後はアカモクに期待される脂肪燃焼作用や免疫増強作用等についても検証を続けていく予定です。


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  【アカモクの生物について説明する村上教授】         【アカモクとアカモクの粉末】

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