お花を撫でると何が起きるのか?~お花を触ったときに働く遺伝子を解明~

 生物資源学部生物資源学科の西嶋助教、サンジャヤ研究員、風間教授らは、創造農学科の篠山准教授との共同で、ナデシコの一種Dianthus hybridaの花芽を撫でた際に起こる遺伝子発現応答を詳細に解析し、花器官に特異的な接触誘導性遺伝子群を特定しました。

 接触刺激応答は植物一般に共通する現象であり、代表的なものとして、接触に反応して葉を畳むオジギソウや、ハチの羽音振動に反応して蜜を分泌するマツヨイグサなどが知られています。近年、実験植物であるシロイヌナズナの葉を用いて接触刺激による遺伝子発現変動の研究が進められてきましたが、園芸植物では蜜線に代表されるような接触刺激の組織・器官ごとの詳細な遺伝子発現変動の解析例はありませんでした。

 今回、研究チームは、無風・無振動で栽培したナデシコの花芽に手で接触刺激を与えた際の遺伝子発現変動を解析し、葉のデータと比較しました。その結果、花では961の遺伝子の発現が上昇し、その大多数が葉と共通するものの、内32の遺伝子が花特異的に誘導されていました。このことから、接触に対する一般的な応答は植物体全体で共通するものの、器官特異的な経路も一部存在することが示唆されました。

 本研究成果は今後、蜜腺をはじめとする花特異的な接触応答の分子機構を解明する上で有益な情報となることが期待されます。また、この器官特異的な経路の下流を遺伝子工学技術により操作することで、新たな品種の開発が期待されます。本研究成果は、国際雑誌「Horticulturae」のオンライン版に掲載されました。

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