卒業生の生駒拓也さん、西嶋准教授、池田准教授、風間教授らの成果が福井新聞の1面に掲載されました。

2025年6月26日 

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生物資源学研究科の生駒拓也さん(研究当時博士前期課程2年生)、西嶋准教授、池田准教授、風間教授と、理化学研究所の阿部知子室長らによる研究グループは、モデル植物であるシロイヌナズナの染色体のペアのうち、片方の染色体に重イオンビーム照射によって大きな欠損(遺伝子の一部が失われた状態)を導入した際に、葉の大きさや枚数などの形質に変化が現れることを明らかにしました。この現象は、遺伝子の一部が失われることで植物の性質が変化することを意味しており、私たちが中学校や高校で学ぶ「メンデルの遺伝の法則」の一つ、「優性(顕性)の法則」では説明しきれないことを示しています。
「優性(顕性)の法則」とは、異なる2つの遺伝子(対立遺伝子)を持つ場合でも、優性の遺伝子が1つあればその性質が表れるという考え方です。しかし今回の研究では、遺伝子が一方にしか存在しない(もう一方は欠けている)場合でも植物の性質が変化することがわかり、「優性の遺伝子が1つあれば十分である」という従来の理解が必ずしも当てはまらないことを示しています。さらに研究グループは、遺伝子が1つしか残っていない場合、その発現量(はたらきの強さ)が、遺伝子が2つそろっているときのおよそ半分に減少していることも明らかにしました。研究当初は、遺伝子が1つしか残っていない場合でも、その発現量が増えてバランスを保つ「遺伝子量補償」が働くと考えていましたが、シロイヌナズナではそのような補償機構が見られず、遺伝子が減るとそのまま発現量も減少することが示されました。このような「染色体の一部の欠け」により、植物の形質の変化を引き起こすことは、新しい育種技術としても期待されます。
 本成果は、国際的な科学雑誌「Scientific Reports」のオンライン版に掲載されました。

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