塩野准教授ら国際研究チーム、世界で初めて、イネなどの湿生植物が根腐れを防ぐ植物ホルモン特定![環境植物学分野]

2021年11月2日 

生物資源学科(環境植物学分野)の塩野克宏准教授が主導したボン大学(ドイツ)、ゲッティンゲン大学(ドイツ)、岡山大学、新潟食糧農業大学の国際共同研究チームが、イネなどの湿生植物が、水の多い湿潤環境への適応に重要な酸素漏出バリアの形成にアブシジン酸が中心的な役割を果たすことを、世界で初めて発見しました。研究成果は2021年11月2日に植物科学分野のトップジャーナルである国際学術誌「New Phytologist」のオンライン版に掲載されました(https://nph.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/nph.17751)。

「水」は植物にとって不可欠なものですが、「多すぎる水」は根の呼吸を阻害し生育を妨げます。一方、水田や湿地で育つイネなどの植物は、根からの酸素漏れを防ぐ「酸素漏出バリア」をつくることで、根の先まで酸素を届け、順調に育つことができます。「酸素漏出バリア」は水の多い環境への適応に重要な形質ですが、これまで、その形成メカニズムは分かっていませんでした。

塩野准教授らは根の組織特異的な遺伝子発現解析と遺伝子発現データベースを駆使することで、アブシジン酸が中心的な役割を果たし、根の細胞壁の状態を変化させ、酸素漏出バリア形成を制御していることを明らかにしました。酸素漏出バリアは湿害耐性の高い植物種だけが持つ機能であり、その機能を湿害の被害を受けやすい畑作物に付与することが望まれます。今回、その形成メカニズムの一端が明らかになったことで、その実現の可能性が高まりました。

この研究成果の発表は、NHK福井県のニュース、福井新聞、日刊福井、中日新聞に加えて、朝日新聞デジタル、YAHOO!ニュースなど様々なメデイアで紹介していただきました。

Contact このページのお問い合わせ先

福井県立大学 生物資源学部
〒910-1195 福井県吉田郡永平寺町松岡兼定島4-1-1 
TEL : 0776-61-6000 FAX : 0776-61-6015
E-mail : f_bio@fpu.ac.jp