【生物資源学先端セミナー】

演　題：「根の組織発生を制御する細胞間相互作用」
　　　　　～根っこの研究　これまで・これから～
　　　　　　　　　　　
講　師：宮島 俊介 講師
          （石川県立大学・生物資源工学研究所）

要旨：
植物 は進化の過程で「根」を獲得し、陸上での生息域の拡大を可能としてきた。
根はその先端にある根端分裂組織とよばれる微小空間において、規則正しい細胞分裂と細胞分化を繰り返すことで、土壌環境に特化した根固有の組織構造を構築する。これまで発表者は、一貫してモデル植物シロイヌナズナの根を研究材料に、分子生物学的手法および生体イメージングを基盤に、工学・理論生物学など異分野研究技法を取り入れた融合研究を推進することで、根の組織発生の分子機構の解明に努めてきた。その中で、転写因子や低分子 RNA などの生体分子、さらには物理刺激である圧縮応力などが、植物組織においては細胞間を跨いで作用するシグナル因子として働き、細胞分裂や分化の時空間パターンを制御することで、根の組織構造が形成されていることを明らかにしてきた。本セミナー では、発表者のこれまでの国内外の研究機関での研究成果に加え、キャリアパスの中での様々な出来事、さらには、根の多様な土壌環境適応戦略の理解に向けた新たな取り組みなどを含めて紹介 したい。
 

参考文献：
Fujiwara et al. “Patterned proliferation orients tissue-wide stress to control root vascular symmetry in Arabidopsis” Current Biology (2023)
Miyashima et al. “Mobile PEAR transcription factors integrate positional cues to prime cambial growth” Nature (2019)
Miyashima et al. “Non-cell-autonomous microRNA165 acts in a dose-dependent manner to regulate multiple differentiation status in the Arabidopsis root” Development (2011)

日時：令和5年6月22日 （木曜日） 16:30 ～ 17:30

場所：生物資源学部棟 1F 会議室

連絡先： 担当教員名　篠原 秀文（内3520）

ポスターはこちらのリンクからも見られます。
https://drive.google.com/file/d/1Kg15htsmrELmgeBvkhTlqZyT0S0e0ySz/view?usp=sharing

教員・院生・学部生のみなさんの来聴を歓迎します！