学部長からのメッセージ

海は生命を産み、そしてそれらの進化を育んできました。海洋で生産される魚介類や海藻類などの水産物(海洋生物資源)は、良質のタンパク質や高い健康機能性を有する脂肪分を含みます。また、様々なビタミン類やミネラル類、食物繊維などにも富むことから、日本はもとより世界中の人々にとっても、とても大切な栄養源となっています。 
栄養バランスに優れた健康的な食生活である和食が、ユネスコの無形文化遺産に登録されたことをご存知の方も多いと思います。この、和食の一つの柱である水産物の摂取は、世界的にも人気が高まっています。そのために、世界中で様々な水産物に対する漁獲圧が高まっています。また、様々な人の活動に伴って、海洋環境が変化しているようです。それらの結果として、魚介類が減少傾向にあるのではないかと考えられています。今後も海洋生物資源を持続可能なレベルで利用するためには、海洋生物資源の再生産の場である海洋の環境を正確に理解する必要があります。また、再生産の特性を含めて海洋生物そのものを深く知ることも重要です。
福井県立大学海洋生物資源学部は、日本海に面した唯一の水産海洋系の学部であり、豊かな自然に囲まれています。目の前には、豊富な海底湧水を有することから美味しい魚介類が育つといわれる小浜湾があり、そして、小浜湾を囲むように若狭湾・日本海が広がっています。また、近くには、ラムサール条約対象の三方五湖(海水から淡水まで、塩分濃度の異なる幾つかの湖が連なっており、それぞれの生物相も異なるという面白い湖沼群です)があります。豊かな自然環境に囲まれ、そして、その環境を重要な調査研究の対象としながら、本学部は大別すると5つの研究を進めています。

  1. 魚が育つ環境を知る研究(海の底から栄養塩を沸きあがらせる湧昇流、急潮の発生メカニズム、生物生産の要の海洋微生物に関する研究)
  2. 海洋生物をより深く知る研究(藻類、魚類の進化に関する研究)
  3. 魚を育てる研究(養殖、種苗生産、資源管理に関する研究)
  4. 海洋生物資源をより一層有効利用する研究(医薬品、機能性食品、加工食品の開発)
  5. 魚を獲る・売る・輸出する研究(漁業管理、グローバル化と輸出入戦略、地域流通と地域活性化に関する研究)

海洋生物資源学部は、地域社会との交流の機会が多くあることも特徴の一つです。地元の有志の方々によって組織された「福井県立大学小浜キャンパスを育てる会」は本学部を支える大きな力となっており、深く感謝しているところです。地元有志の方々の協力の下に、漁業者と定置網漁業体験、水産物加工業者と魚加工品作製体験などを通じて交流し、また、地域活性化に本学部学生が取り組む授業科目が設定されており、学生達は交流を楽しんでいるところです。海洋生物資源学部は、このように素晴らしい自然環境と人的環境の下で、海洋生物資源の持続的利用に関連する課題の解決に貢献する人材の養成を目指して、恵まれた環境を生かした教育・研究に取り組んでいます。

DeanYokoyama
海洋生物学部長
横山 芳博