学長からのメッセージ

2022年4月1日 

人間力の向上は学びと体験の繰り返しから
志を持って挑む皆さんを支援します

大学での学びは社会で働くための助走である

 皆さんは、大学をどういうところだと考えていますか。
 小・中・高校では、歴史や先人の発見等明らかになっている物事の基本や本質を丁寧に学びます。従って、これらの理解を確認するための試験の答えは、おのずと決まっています。
 一方、常に多様な動きをしているのが社会です。例えば、自然科学の研究が進み、環境の変化は地球規模で考えますが、世界各国が選択する固有の対応策はそれぞれ異なっています。皆さんは小・中・高校で答えのある勉強を行ってきましたが、4年間の大学生活の後には、正解が一つとは限らない社会で生きていくことになるのです。
 大学は、それまでに学んだ基礎知識を基に、直面する課題や突然発生した難題に向き合い、自分なりの解決策を提案できる力を身につける場です。この学びは社会で活躍するための助走だと考えています。
 

やる気(motivation)と志(ambitious)心の支えとなる「志」も大切に

 将来、社会に出るに当たって意識してもらいたいのが、英語の「アンビシャス」に当たる「志」です。
 「絶対に合格したい」と思う高校生の皆さんは、「やる気がある」とか「モチベーションが高い」と言われます。時間を区切って具体的な目標を設定することは、人の成長に極めて効果的です。試験に向かっての努力、進路を考えたり修正したりしたこと、両親や先生方と話し合ったことは重要な実体験です。しかし、目標を入試の合格に限定すると、入学後目的を失ってしまう人がいます。
 「やる気」に対し、日本語では「志」、英語では「ambitious」というニュアンスの異なる言葉があります。私は、「志」には、やる気に加え社会性の意味が含まれると思っています。安全安心な食品を提供したい、難病治療薬の開発に携わりたい、困っている人を助けたい、よい先生になりたいなど、広い視野から生まれる気持ちです。福井県立大学は皆さんの「志」も大切にします。漠然としたもので結構です。社会的意味を意識して自分の進む道を考えてください。人生は長いです。困ったとき、心の支えになるのが「志」だと思います。
 

多様な課題に対処する能力は座学と体験学習の繰り返しで開発される

 当大学のカリキュラムでは、充実した講義とともに、演習、実習、フィールドワ ーク、インターンシップなどの体験学習を用意しています。
 体験学習は、目標やモチベーションを持った学生にとっては、その意欲を確認する機会となり、目標や意欲をまだ持てずにいる学生には“志を見つける仕掛け”になると考えます。皆さんが何らかのプロフェッショナルを目指す、あるいは人間力を高めるには、知識を修得する座学と体験学習を交互にバランスよく繰り返すことが必要だと確信しています。一人ひとりが、自分に合った分野を見つけてください。
 当大学には、約170名の教員が在籍します。皆さんは、最終年次で、自分とマッチする先生を見つけ、その指導を受けながらゼミや卒業研究に取り組むことになります。それは、答えのない課題・ 問題への挑戦であり、何らかの結論を導こうとする経験が、大学生活の最も充実した時間であり、醍醐味であると思っています。
 先生方の研究成果はWebなどで世界へ発信されます。皆さんは、先生との共同研究を通じて、世界のフィールドに積極的かつ主体的に参加することができるのです。
 

福井県立大学は、‘‘一芸” も支援

 皆さんにおすすめしたいのは、ゼミや卒業研究に真剣に取り組むととともに、クラブやサークル、留学、社会活動などの何か一つを極めることです。「一芸で身を立てる」とは、一芸そのものだけでなく、芸を求める“ 過程”に大きな意義があると思います。その過程は、スピードスケートのメダリスト、清水宏保さんのお話が参考になります。
 「人は、クラブ活動など何らかの活動を始めると目標がはっきりし、努力するようになる。同時に目標達成のために、自ら計画を立てる。思い通りにいかないと修正するために、指導者や先輩などに改善策を聞くようになる。このとき、人の話を聞く姿勢が生まれる。教えられた改善策を参考に再び努力する。努力を重ねていると欲が出てきて、あきらめずに粘る経験ができるようになる。この繰り返しが人間力を向上させる」というのが清水さんのご指摘です。一芸に励む過程で社会性が身につき、粘ることを覚え、人間力が総体的に向上するのであろうと思います。
 このお話は、先述した「座学と体験学習の繰り返しでバランスの良い人間形成を目指す」ことにも通じます。福井県立大学は、皆さんの多様な活動を奨励し、支援していきます。

学長
【プロフィール】

学長/農学博士 岩崎 行玄(いわさき ゆきもと)
 愛知県生まれ。1992年福井県立大学開学時に講師として着任。生化学・分子生物学の講義および、化学実験、分子生物学実験を担当。イネ種子の大きさ、草丈を決定する遺伝子・タンパク質の研究に関する多数の研究実績を持つ。
 福井県立大学においては、生物資源学部長、生物資源学研究科長、入試制度検討委員会委員長、学生部長を歴任。学外では、福井県原子力専門委員会委員、福井県農林水産試験研究評価会議学部審査委員、福井県ライフアカデミー運営委員会委員、福井県開放講義等に関する連絡協議会委員を務める。

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