7/1の週に生物資源学部の日竎教授、伊藤講師が参画した研究論文が、「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(電子版)」に掲載されます。
7月1日の週に、生物資源学部 日竎隆雄教授、伊藤貴文講師が参画した奈良先端科学技術大学院大学 高木博史教授の研究チームの論文がアメリカ科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (電子版)」に掲載されます。
本研究の功績
- 酸化ストレスから酵母を防御する新たなメカニズムとして重要な「アセチル基転移酵素Mpr1」の立体構造を明らかにした。また、得られた情報をもとに、精製した酵素を用いた試験管内での実験および変異型の酵素を発現する酵母の解析などを行い、Mpr1の反応機構や細胞内での機能を解明した。
- 本研究によって、Mpr1のユニークな基質認識や活性制御の分子機構を明らかにするとともに、Mpr1が関与する酵母の抗酸化メカニズムへの理解を深めることができる。また、より高い活性や安定性を有するMpr1の分子設計が可能となり、発酵プロセスで酵母が受ける酸化ストレスへの耐性が向上し、発酵能が飛躍的に向上した産業酵母の育種への応用が期待される。さらに、Mpr1の遺伝子は多くの真菌(酵母、カビ)に保存されており、立体構造をもとにMpr1の活性や機能を特異的に阻害する化合物を設計することで新たな抗真菌薬の開発に繋がる可能性がある。
*詳細は奈良先端科学技術大学院大学プレスリリース資料へ
本研究において日竎教授、伊藤講師が果たした役割
- 日竎教授は、高木教授が福井県立大学に在籍していた平成16年度(2004年度)に生研機構(現・生研センター)の基礎研究推進事業に採択された「酵母の発酵環境ストレス適応機構の解明と新規な発酵生産系開発への基盤研究」に参画し、Mpr1タンパク質の構造機能解析を開始した。2009年にMpr1の結晶化に成功しながら、立体構造解析に適した結晶がなかなか得られず苦労したが、2013年遂に伊藤講師らとその立体構造を明らかにすることに成功した。また、本酵素の機能改良に重要な情報を与える基質結合部位の構造を明らかにすることはさらに困難を極めたが、基質として既に知られていたアゼチジンカルボン酸(AZC)の代わりの第2の基質として、医薬品や香粧品の原料となるシス-4−ヒドロキシ-L-プロリン(CHOP)を見出し、CHOPとの複合体を作製することで基質結合部位の立体構造を初めて明らかにした。これにより、本酵素の機能的な特徴を構造から精密に議論することが可能となり、本酵素の改良への指針となることが期待された。
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