生物資源学部の塩野克宏准教授と平修准教授が、国内の4つの大学(大阪医科大学、名城大学、名古屋工業大学、北陸先端科学技術大学院大学)と民間企業(島津製作所)との共同研究により、植物組織にある複数の「植物ホルモン」の量と分布状態を、世界で初めて視覚的に表現(イメージング)することに成功しました。
「植物ホルモン」は、植物の遺伝子の働きを制御する化学物質で、バナナを色づかせる「エチレン」や種無しブドウを作る「ジベレリン」など、これまで10種類程度が知られています。植物組織内における植物ホルモンの蓄積量や組み合わせによって植物ホルモンの働きが決まることから、複数の植物ホルモンの量と分布状態を知る技術が待望されてきました。
今回、イメージング質量分析と呼ばれる最新手法により、複数の植物ホルモン(アブシジン酸とサイトカイニン※)の量と分布状態を同時にイメージングできることを発見しました。本研究の成果により、植物の成長や環境適応能力に関する研究が飛躍的に進むほか、将来的には植物ホルモンを利用した農作物の生産性の向上や品質改良への応用が期待されます。
また、研究成果は、米国化学学会誌「Journal of Agricultural and Food Chemistry」2017年9月6日号に掲載され、同誌の表紙にも採択されました。表紙のデザインは、生物資源学部3年の学生グループが創作したもので、中央に描かれているイネは福井県の新品種「いちほまれ」をモデルにしています。
(表紙のデザインはこちらをご参照ください。)
※アブシジン酸 ・・・種子の発芽抑制や乾燥・塩ストレスに関わるホルモン
サイトカイニン・・・細胞分裂の促進などに関わるホルモン
イメージング質量分析により可視化したイネの根のおける植物ホルモンの量と分布
(赤・・・サイトカイニン 緑・・・アブシジン酸)
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