【研究成果】40年間不明だったトラフグの口白症(くちじろしょう)のゲノムの一部を発見し、確定診断法を開発

2021年5月6日 

 海洋生物資源学部の宮台俊明名誉教授、末武弘章教授、瀧澤文雄准教授らは、三重大学の一色正教授との共同研究で、養殖トラフグに甚大な被害をもたらす口白症の病原ウイルスのゲノムの一部を発見し、このゲノムを検出することによって口白症を確定診断することを可能にしました。

 口白症は新規の病気として1982年に発生したことが記録されました。病原体はウイルスと予測されましたが,口白症ウイルスゲノムは40年近く特定されなかったため、PCRによる診断ができない状態が続きましたが、本研究により初めて確定診断法が確立されました。

この研究成果は、学術雑誌「魚病研究」に掲載されました。

1.本研究の概要

 トラフグの口白症は九州のトラフグ養殖場で発生し、新規の病気であることが1982年に報告されました。口白症は、かみ合いによって個体から個体に感染し、致死率も高いため、一度発生すると、生簀内のトラフグが全滅するほどの恐ろしい病気です。口白症の病原体はウイルスであることが予測されましたが、ウイルスの種類を特定することができず、そのためウイルスの確定診断法であるPCR法はもちろんのこと、ワクチンによる防御法を開発することはできませんでした。

 本研究では、ウイルスの未解明のゲノムを探し出す手法を用いて、3つのRNA断片を特定することに成功しました。これらのRNAは既知のどのウイルスとも異なっているため、新規のウイルスであると考えられるものでした。そのため、これらのRNAをPCR法で検出することによって、口白症であるかどうかを確定的に診断することが可能となりました。口白症は現在でも散発的に発生しているとみられますが、不明病として扱われている可能性もあり、本診断法を用いることによって、口白症の発生状況を正確に把握できます。また、ゲノムの一部を明らかにしたことから、このゲノム情報をもとにしたワクチンの開発につながることが期待されます。

kuchijirosho

2.論文について

【研究論文名】Exogenous RNA segments detected specifically in the brain of kuchijirosho (snout ulcer disease)-infected fugu Takifugu rubripes: molecular diagnosis tool for kuchijirosho.

【論文著者】  加藤毅士、北村万佑香、前田知己、小髙智之、瀧澤文雄、末武弘章(以上福井県立大学)、

       一色正(三重大学)、宮台俊明(福井県立大学名誉教授)

【掲  載  誌】 日本魚病学会誌「Fish Pathology」56巻1号6-13頁-

        https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsfp/56/1/56_6/_article/-char/ja/

【公  表  日】 令和3年3月15日 

                       オンライン版 令和3年4月22日

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宮台俊明 名誉教授

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