(Journal of Hydrologyオンライン版掲載)若狭湾の調査により河川から海へ輸送される栄養物質への地下水の重要性を解明!
本学海洋生物資源学部の杉本亮教授と博士後期課程の中島壽視日本学術振興会特別研究員は、若狭湾に流入する6河川で調査を行い、川から海へ輸送される栄養物質への地下水の重要性を解明しました。研究成果は、2022年6月19日に水文学分野のトップジャーナルである国際学術誌「Journal of Hydrology」のオンライン版に掲載されました。
詳細はこちら https://doi.org/10.1016/j.jhydrol.2022.128045
沿岸海域は世界中でも最も高い生物生産力を有している場所であり、そこで育まれる豊富な水産資源が、私たちの生活にも多大な恩恵を与えています。河川等を介して沿岸海域へ輸送される窒素やリンといった陸域起源の栄養物質が、この豊かさを育む上で重要な役割を担っています。
今回、若狭湾に流入する6つの河川の下流域において水文観測と天然放射性元素ラドン222の物質収支解析を行い、地下水が河川下流域でどの程度流入しているのかを定量的に評価しました。その結果、河川から海へ流出する全淡水量の最大15%が地下水によるものであり、河床勾配が強い河川ほど、地下水の混入割合が高いことを明らかにしました。さらに、陸域起源の栄養物質の輸送量に対する地下水の貢献度は、窒素で最大16%、リンで最大42%に達することも明らかにしました。
若狭湾のように、後背地に急峻な地形勾配を有する沿岸地域では、地下水による栄養物質供給はとても重要であると考えられます。また、これまでの河川水のみを対象とした栄養物質の輸送量評価では、陸水の影響を過小評価している可能性が高く、沿岸海域へもたらされる陸域起源の栄養物質量は、これまでの見積もりよりも大きいものと予想されます。
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