村上特命教授らの研究グループがタウリンによる血糖低下作用とその作用メカニズムを解明!
本学生物資源学部の村上茂特命教授らの研究グループは、マウス糖尿病モデルを用い、アミノ酸誘導体タウリンの血糖低下作用とその作用メカニズムを解明しました。
タウリンはドリンク剤の成分として知られていますが、ヒトを含む動物の体内にも豊富に存在し、浸透圧調節作用、タンパク質安定化作用、抗酸化作用などを介して、細胞の正常な機能維持において重要な役割を担っています。インスリンは、すい臓のβ細胞から分泌される体内で唯一の血糖低下作用を持つホルモンです。インスリンは筋肉や肝臓への糖(グルコース)の取り込みを促進することにより、血糖値を低下させます。すい臓β細胞が傷害されインスリン分泌が低下したり、筋肉や肝臓においてインスリンの作用の低下が起こると血糖値が上昇し、糖尿病が発症します。
今回、ストレプトゾトシンによりすい臓のβ細胞を傷害したマウスの糖尿病モデルにおいて、タウリン投与が血糖値を低下させ、この効果に肝臓での糖代謝改善と抗酸化作用によるすい臓β細胞の保護が関係していることを明らかにしました。
成果のポイント
(1) タウリンは抗酸化作用により、酸化ストレス等が引き起こすすい臓β細胞の組織傷害を低減し、インスリン分泌の低下を回復させる。
(2) タウリンは肝臓の糖輸送体(GLUT2)の発現を増加させることにより、肝臓の糖取り込みを増やしてグリコーゲン量の減少を抑制し、糖代謝を正常化する
(3) これらの作用により、タウリンは血糖値を低下させる。
本研究成果
国際学術雑誌(Metabolites)にオンライン掲載されました。
https://www.mdpi.com/2218-1989/12/6/524
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