食品化学研究室

研究紹介

1.研究の概要

食品化学研究室では、(1)海洋動物の細胞外マトリックス成分(主にコラーゲンや糖タンパク質)の基礎性状、食品機能および利用、(2)魚介類の流通過程における品質の変化、(3)二枚貝の生理機能と食品機能、および(4)未利用海洋生物からの有用成分の回収および有効利用に関する研究を行っています。

コラーゲンは、あらゆる多細胞動物の体内に存在するタンパク質で、食品中では主に食感の発現に関係しています。また、最近ではコラーゲンの持つ保水力に注目して化粧品の成分として利用されています。しかし、海洋動物のコラーゲンの中にはその基礎性状すら解明されていないものが少なくありません。それだけ未知の機能や利用の可能性が秘められており、今後の進展が大いに期待される分野です。また、魚介類は漁獲後利用されるまでの間に必ず時間的経過があり、その間に品質が変化します。しかし、その変化の詳細やメカニズムについては不明な点が多く、魚介類の味や食感の発現などの食品機能および食品としての安全性の観点から品質の変化を解明することは極めて重要です。

2.主要業績 

最近発表した論文の一部をここで紹介します。なお本研究室の業績の詳細については別添の業績リスト(PDF形式 40キロバイト)をご覧ください。

(1)細胞外マトリックスのタンパク質,水田尚志,FFIジャーナル,222(2),98-108 (2017).

概要:本総説は「食料資源としての水産タンパク質研究」と題する特集の一環として執筆したものです。この中では魚介類の細胞外マトリックスに存在するタンパク質を広く紹介していますが、特に最近健康食品や化粧品の原料として注目されているコラーゲンに焦点を当てています。また、ナマコ類の真皮中に見いだされたユニークな糖タンパク質(400kDa糖タンパク質)に関するホットな情報を記載しています。

(2)Effects of immersion salinity on the food properties of shucked oysters. M. Hosoi, S. Sugihara, K. Kato, S. Mizuta, Y. Yokoyama, Fish. Sci., 80: 819-825 (2014).

和文タイトル:浸漬水塩分がマガキむき身成分に与える影響

概要:塩水パックで流通、販売されるマガキむき身の品質が、その浸漬水の塩分によってどのような影響を受けるのか調べた論文です。塩分とタウリンなどの遊離アミノ酸含量が相関し、浸漬水塩分がマガキむき身の品質に大きな影響を与えることを明らかにしました。

マガキの画像
マガキ(Crassostrea gigas)

(3)Enzymatic solubilization of collagen in the skin of diamond squid Thysanoteuthis rhombus: application of a fungal acid protease. S. Mizuta, M. Nishizawa, F. Sekiguchi, K. Matsuo, Y. Yokoyama, R. Yoshinaka. Fish. Sci., 79: 841-848 (2013).

和文タイトル:ソデイカ皮膚コラーゲンの酵素的可溶化:カビが産生する酸性プロテアーゼの応用

概要:動物組織より未変性状態のコラーゲンを可溶化する際、多くの場合はペプシン(ブタ胃粘膜由来)を用いた限定分解法が採用されますが、低利用資源となっているソデイカの皮膚を材料とし、これに豊富に含まれるコラーゲンを、カビの一種Rhizopus niveusが産生する酸性プロテアーゼ(リゾパスペプシン)を用いて可溶化することに成功しました。得られたリゾパスペプシン可溶化コラーゲンは、ペプシン可溶化コラーゲンとほぼ性状が一致し、可溶化率についてもペプシンを用いた場合とほぼ同等であることが判明しました。