食品化学研究室

教育紹介

1.各研究テーマの概要

以下に挙げる研究課題のいずれかについて、教員と学生の対話を進めながらより具体的なテーマを決定しています。

(1)二枚貝の生理機能と食品機能の関係性に関する研究

生物の体内環境や成分は、環境変化やストレス、栄養状態などによって能動的・受動的に変化する。食品として利用される生物では、このような変化が食品としての機能性に影響することから、環境・栄養等の外的要因による体内成分への影響やそのメカニズムを研究することは、食品化学的な観点からも重要である。本研究では、世界的に重要な水産資源である二枚貝マガキを研究対象として、塩分ストレスに応答した低分子代謝物の蓄積機構を解明する。特に、マガキ組織に豊富に蓄積し、種々の食品機能性を有するタウリンの生合成機構や、本研究室によってマガキから初めて検出されたエクトイン(ある種の細菌が環境適応のために蓄積する適合物質)、スタキドリン(植物に蓄積する生理活性物質)等いわゆるアルカロイド類の蓄積機構についての研究を進めている。

(2)海洋動物コラーゲンに関する研究

コラーゲンは動物の細胞外マトリックスに広く分布する構造タンパク質の一種である。海洋動物のコラーゲン分子種の基礎性状に関する情報を集積するとともに、下記に掲げる研究を行なう。

・魚類コラーゲンの架橋形成機構の解明-魚類コラーゲンは非常に酸に溶けやすいという特性がある。その原因を架橋形成機構の面から生化学・分子生物学的手法を用いて解明する。

・食品の物性に対するコラーゲンの機能-海洋動物組織の物性は、貯蔵や加工(加熱など)によって変化する。このような組織の物性変化にコラーゲンがどのように関係しているかを明らかにする。

・低利用海洋生物資源からのコラーゲンの回収と有効利用-低利用海洋生物資源(魚介類加工残滓やクラゲ類など)から低コストで簡便なコラーゲン回収方法を開発し、化粧品、食品や医薬品の原料としてこれらを利用するための基礎を築く。

(3)ナマコ類体壁の利活用に関する研究

福井県ではマナマコの栽培漁業が盛んに行われているが、その利活用に関しては遅れている。ナマコ類の主要可食部は体壁と呼ばれ、それを構成するタンパク質は主にコラーゲンである。また、最近マナマコ真皮において全タンパク質の約2割を占める新規タンパク質(400kDa糖タンパク質)の存在を明らかにした。400kDa糖タンパク質は体壁に豊富に含まれる上、溶解性に優れることから新たなタンパク質資源としても注目されている。本研究では、福井県におけるナマコ関連産業の活性化に貢献することを目指して、ナマコ類体壁から回収したこれらタンパク質の生理学的機能や食品機能を解明するとともに、タンパク質資源としての利用の可能性を検討する。

(4)未利用海洋生物からの有用成分の回収および有効利用に関する研究

しばしば大発生して漁労の妨げとなるクラゲやヒトデ類など未利用の海洋生物が多くある。それらの無脊椎動物にはレクチンなど、哺乳類や魚類などの脊椎動物とは全く異なる種々の生理活性物質が含まれることがわかってきた。また、食用には向かない海藻類にも抗炎症・抗がん性物質などが含まれている。本研究では、生化学的・分子生物学的手法を用いて未利用海洋生物より生理活性物質を回収するとともに、その分子構造や基本性状を解明する。さらに、研究用試薬や医薬品などへの利用法を検討する。

(5)魚介類の流通過程における品質変化とストレス応答機構

アサリ、シジミ、カキなどの貝類は生きたまま水から取り上げて流通する。魚類では基本的に空気呼吸ができないことからこのような流通は不可能である。貝類ではそのような嫌気的環境下でも生きのびるメカニズムを有していると考えられている。本研究では流通過程での食品学的(いつ食べたらおいしいのか、またなぜおいしいのか)、生化学的(何のためにどのような物質ができるのか)変化を検討するとともに、嫌気的環境への分子応答機構、ストレス状態に応答してどの様な遺伝子がどの様な機構で発現するのかを解明する。

2.サンプリング風景(田烏、養殖サバ)

食品化学研究室は、小浜市の鯖復活プロジェクトに参加し、小浜市、福井県、企業(株)鯖や)等と協働しながらサバの養殖・研究を進めています。下の写真は、平成29年8月に行われた小浜市田烏でのサンプリングの様子です。

小浜市 田烏にて
小浜市 田烏にて

美味しいサバを育てるための研究を行っています
美味しいサバを育てるための研究を行っています

脊髄破壊による神経締
脊髄破壊による神経締